SNSでしつこく付きまとわれています。ネット上の行為もストーカーとして対応してもらえますか?弁護士が分かりやすく解説します

Q 特定の人から、SNSのメッセージやメールがしつこく送られてきます。やめてほしいと伝えたのに続いていますし、私のことをネットの掲示板にも書かれています。直接会いに来られているわけではないのですが、こうしたネット上の行為も「ストーカー」として警察に対応してもらえるのでしょうか。

A 直接会いに来られていなくても、ネット上の行為がストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)の対象になる場合があります。同法は、電話やメールに加えて、SNSのメッセージ送信やブログ・SNSの個人ページへの書き込みも規制の対象としており、警察の警告や公安委員会の禁止命令につながることがあります。あわせて、投稿の削除、投稿者の特定、損害賠償請求といった民事の手段も考えられます。いずれの手段をとるにしても、まずは日時とURLが分かる形で記録を残すことが出発点になります。

【解説】

1 ストーカー規制法は、ネット上の行為も対象にしています

ストーカー規制法は、「つきまとい等」として次の8つの類型を定めています(同法2条1項各号)。

  • ①つきまとい、待ち伏せ、見張り、押し掛け、付近をうろつくこと
  • ②行動を監視していると思わせる事項を告げること
  • ③面会や交際などの要求
  • ④著しく粗野または乱暴な言動
  • ⑤無言電話、拒まれたのに連続して電話・文書・ファクシミリ・電子メール・SNSのメッセージ等を送ること
  • ⑥汚物などの送付
  • ⑦名誉を害する事項を告げること
  • ⑧性的羞恥心を害する事項を告げること、またはそうした文書・画像等を送ること

このうち、SNSのメッセージ送信や、ブログ・SNSの個人ページへの書き込みは、平成28年の改正で規制の対象に加えられたものです(警察庁「ストーカー行為等の規制等に関する法律の一部を改正する法律の概要」PDF)。ご相談のような、拒否した後も続くメッセージ送信は⑤に、ネット上の書き込みは内容によって②⑦⑧にあたる可能性があります。

もっとも、同法が対象とするのは、特定の人への恋愛感情その他の好意の感情、またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を満たす目的で行われる行為です(内閣府男女共同参画局解説ページ)。金銭トラブルや業務上の対立が原因の場合は、この目的にあたらず同法の枠外となることがあり、その場合は後記4の手段を検討することになります。

また、「ストーカー行為」として処罰の対象になるのは、同一の人に対してつきまとい等を反復して行った場合とされています。

2 令和7年の改正で、規制と警察の対応が広がりました

ストーカー規制法は令和7年に改正され、主な部分が令和7年12月30日から施行されています(警察庁「ストーカー規制法が改正されました!」)。改正の内容は、次のようなものです。

  • GPS機器等に加え、紛失防止タグを使って承諾なく位置情報を取得する行為や、これを持ち物に取り付ける行為が規制の対象に加わりました(2条3項)。
  • これまで被害を受けた方の申出が前提とされていた警告を、申出がなくても職権で行えるようになりました。
  • 被害を受けた方を援助する努力義務の主体に、勤務先の雇用者と学校の長が加えられました。
  • 加害者が転居した場合などに備え、違反行為が行われた場所の都道府県公安委員会も禁止命令等を出せるようになりました。

さらに、警察本部長等が探偵業者などに対し、被害を受けた方の情報を提供しないよう求める通知の制度が、令和8年3月10日から施行されています。

3 警察の警告・禁止命令と、罰則

警察署長等による警告や、公安委員会による禁止命令等の制度があります(同法4条、5条)。罰則は、ストーカー行為をした場合が1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金、禁止命令等に違反してストーカー行為をした場合が2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金、その他の禁止命令等違反が6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金とされています(警視庁「ストーカー規制法」)。

お住まいの地域の警察に相談される場合は、静岡県警察のストーカー規制法のページや、全国共通の警察相談専用電話「#9110」(警察庁案内)もご参照ください。

4 ストーカー規制法にあたらない場合の手段

刑事面では、投稿の内容によって、名誉毀損罪(刑法230条)、侮辱罪(刑法231条)、脅迫罪(刑法222条)、業務妨害罪(刑法233条、234条)などが問題となることがあります。

相手が配偶者や生活の本拠を共にする交際相手である場合は、配偶者暴力防止法(DV防止法)の保護命令の対象となることがあります。同法は令和6年4月1日施行の改正で、接近禁止命令の期間が6か月から1年に伸ばされ、電話等禁止命令の対象にSNS等の送信が加えられました(内閣府「改正配偶者暴力防止法の施行について」)。

民事面では、サイト管理者等への削除の求め(送信防止措置の依頼)、発信者情報開示の手続、損害賠償請求(民法709条、710条)のほか、事案によっては人格権に基づく接近禁止等の仮処分を申し立てることも考えられます。なお、削除の求めについては、令和7年4月1日から情報流通プラットフォーム対処法が施行され、大規模なプラットフォーム事業者の対応手続が整備されています(総務省解説ページ)。

5 記録を残すことが、どの手段でも出発点になります

メッセージや投稿は、削除されると後から確認できなくなります。画面の保存は、投稿の日時とURL、アカウント名が画面内に写る形で行い、可能であれば紙に印刷しておくことをお勧めします。受信したメールは削除せず、そのまま残してください。

また、損害賠償を請求できる期間には、損害および加害者を知った時から3年、行為の時から20年という制限があります(民法724条)。通信記録の保存期間の問題もありますので、お早めのご相談をお勧めします。

6 最後に

同じような行為でも、当てはまる法律や採れる手段は、相手方との関係、行為の目的、回数や期間、書かれた内容によって変わります。警察への相談と民事の手続は、どちらか一方を選ばなければならないものではなく、並行して進めることもあります。お困りの際は、保存された画面や受信したメールをお持ちいただき、ご相談ください。

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※本記事は一般的な法律解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。具体的な事案は弁護士にご相談ください。

浅井裕貴弁護士(静岡県弁護士会)

静岡市清水区出身の弁護士。一橋大学・中央大学法科大学院卒業、静岡県弁護士会所属。ネットの誹謗中傷・発信者情報開示請求(意見照会・トレント対応を含む)、相続・遺言、交通事故案件に注力。基本情報技術者の知見を活かし、IT・インターネット分野の法律問題に対応している。