【法改正速報】サイバー対処能力強化法(能動的サイバー防御)が本体施行/新・日本学術会議法が施行(2026年10月1日)

対象期間:2026年9月30日〜10月1日。
報告件数:2件(いずれも施行)、ほか参考として同日施行の改正法を掲載します。

国会は閉会中であり、対象期間中に成立した法律はありません。10月1日施行の子ども・子育て支援法等改正、改正労働施策総合推進法、入管法等改正の手数料規定は既報のため省略しています。

1.サイバー対処能力強化法・同整備法が施行(2026年10月1日)

  • 法律名:重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律(令和7年法律第42号、通称:サイバー対処能力強化法)及び同法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和7年法律第43号)
  • 区分:施行(2026年10月1日)
  • 根拠:施行期日政令(政令第46号)が、同法附則第1条本文の施行期日を「令和八年十月一日」と定めています。e-Gov法令検索の更新情報(10月1日)にも、同法及び整備法による警察官職務執行法・自衛隊法・内閣法・サイバーセキュリティ基本法等の改正が10月1日施行として反映されています。
  • 概要:基本方針、特別社会基盤事業者による報告等、当事者協定、外外通信目的送信措置(通信情報の取得)、通信情報の取扱い、特定外内・特定内外通信目的送信措置、協議会、サイバー通信情報監理委員会、罰則等を定めます(法律の目次による)。ただし、当事者協定・外外通信目的送信措置・通信情報の取扱い・特定外内/特定内外通信目的送信措置(第3章〜第7章)及びサイバー通信情報監理委員会による検査等(第10章第2節)は、附則第1条第4号により公布の日から起算して2年6月を超えない範囲内において政令で定める日の施行であり、10月1日には施行されていません。10月1日から始まったのは資産届出・インシデント報告・協議会の設置等で、政府の説明資料(2026年9月)は通信情報の利用を「来年秋より施行」としています。整備法により、警察官職務執行法に、指定された警察官が重大な危害のおそれがある場合に原則としてサイバー通信情報監理委員会の承認を得て措置を命じ又は自ら実施する規定(いわゆるアクセス・無害化措置)が、自衛隊法に通信防護措置が設けられています(参議院の提案理由説明・委員会報告による)。
  • 未確認事項:整備法の各改正規定のうち、10月1日施行分と既施行分の条文単位の区別は原典未確認です。なお、特別社会基盤事業者による特定侵害事象等の報告等に関する命令(令和8年内閣府等共同命令第4号)も、附則第1項により本日(10月1日)施行されました。9月21日公開の記事で同命令を「9月18日施行」としたのは誤りで、9月18日に施行されたのは同命令の一部改正命令(同第7号)です。
  • 実務上のポイント:基幹インフラ事業者・ITベンダー・通信事業者における、まずインシデント報告・資産届出が問題となり、通信情報の取得への協力や当事者協定の締結は、附則第1条第4号の施行(政府資料では来年秋)以降に問題となります。通信の秘密・プライバシーとの関係で、利用者からの相談や紛争対応の論点となり得ます。
  • 出典:https://www.cao.go.jp/cybersecurity/pdf/sekoukijitsu.pdf
    https://www.cao.go.jp/cybersecurity/index.html
    https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/217/pdf/s0802170042170.pdf
    https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/217/pdf/k0802170052170.pdf
    https://laws.e-gov.go.jp/api/1/updatelawlists/20261001

2.日本学術会議法(新法)が施行、日本学術会議が法人へ移行(2026年10月1日)

  • 法律名:日本学術会議法(令和7年法律第70号)
  • 区分:施行(2026年10月1日)
  • 根拠:附則第1条「この法律は、令和八年十月一日から施行する。」(一部規定は公布日施行)
  • 概要:日本学術会議を法人とします(第3条「会議は、法人とする。」)。日本学術会議は同日、法人へ移行しました(日本学術会議ウェブサイト)。e-Gov更新情報では、国家公務員法、行政事件訴訟法、独立行政法人等情報公開法、公文書管理法、個人情報保護法等の関係規定も同日改正として反映されています。
  • 未確認事項:個人情報保護法等の関係法律の改正内容(条文単位)は原典未確認です。
  • 実務上のポイント:インターネット関連業務への直接の影響は限定的です。法人化後の情報公開・個人情報の取扱いに適用される法令の変更に留意が必要です。
  • 出典:https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g21709036.htm
    https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/division-21.html
    https://laws.e-gov.go.jp/api/1/updatelawlists/20261001

参考:同日施行が反映された他の改正法(内容は未確認)

e-Gov法令検索の更新情報(2026年10月1日)によるものです。各改正の具体的内容は原典未確認です。

  • 医療法等の一部を改正する法律(令和7年法律第87号)の一部(医療法、健康保険法、次世代医療基盤法、番号利用法、住民基本台帳法等)
  • 児童福祉法等の一部を改正する法律(令和7年法律第29号)の一部(児童虐待防止法、児童対象性暴力等防止法)
  • 労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律(令和7年法律第33号)の一部
  • 年金制度改正法(令和7年法律第74号)、所得税法等改正法(令和8年法律第12号)、地方税法等改正法(令和8年法律第2号)の各一部
  • 国立国会図書館法等改正法(令和8年法律第49号)、農業近代化資金融通法改正法(令和8年法律第17号)、第16次地方分権一括法(令和8年法律第27号)の一部

出典

【訂正(2026年10月7日)】本記事の次の記載を訂正しました。①「9月18日施行の報告命令関係は既報」との記載を、同命令は附則第1項により10月1日施行で、9月18日施行は一部改正命令(同第7号)である旨に改めました(根拠:同命令原始附則第1項、e-Gov改正履歴)。②通信情報の取得等も10月1日に施行されたと読める概要に、第3章〜第7章等は附則第1条第4号により未施行である旨を加えました(根拠:同法附則第1条第4号、内閣府施行説明資料)。③実務上のポイントを、まずインシデント報告・資産届出が問題となり、通信情報の取得への協力等は同号の施行以降に問題となる旨に改めました(根拠:同上)。

浅井裕貴弁護士(静岡県弁護士会)

静岡市清水区出身の弁護士。一橋大学・中央大学法科大学院卒業、静岡県弁護士会所属。ネットの誹謗中傷・発信者情報開示請求(意見照会・トレント対応を含む)、相続・遺言、交通事故案件に注力。基本情報技術者の知見を活かし、IT・インターネット分野の法律問題に対応している。