交通事故の休業損害|弁護士が教える「90日」のワナと正しい計算方法

交通事故の休業損害|弁護士が教える「90日」のワナと正しい計算方法

休業損害の計算「90日」で割るのは誤りかも知れません!

1日あたりの金額が変わるかも?弁護士が教える正しい計算方法

計算

休業損害、正しく計算されていますか?

前回、前々回と通院の重要性についてお話しました。今回は、通院のために仕事を休んだ場合に請求できる「休業損害」の金額に焦点を当てます。保険会社が提示する金額は、必ずしも正しいとは限りません。特に「1日あたりの損害額」の計算方法には注意が必要です。

カギは「稼働日数」で割ること

休業損害は、働いていれば得られたはずの収入の補償です。そのため、休日を含めて計算すると不当に低くなってしまいます。

保険会社が提示しがちな計算方法

90日で割る

事故前3か月の給与合計 ÷ 90


問題点:土日祝などの休日も含めて日割り計算するため、1日あたりの単価が本来より安くなってしまう。

本来あるべき正しい計算方法

稼働日数で割る

事故前3か月の給与合計 ÷ 実稼働日数


ポイント:実際に働いた日数で割ることで、1日あたりの正しい給与額が算出され、正当な補償額に近づく。

具体例:これだけ金額が変わります!

【設定】

  • 1月の給与: 20万円 (稼働20日)
  • 2月の給与: 21万円 (稼働21日)
  • 3月の給与: 25万円 (稼働25日)
  • 3か月の合計給与: 66万円 / 合計稼働日数: 66日
  • 通院のために半休を30回取得 (=15日分の休業)

保険会社の計算 (90日で割る)

660,000円 ÷ 90日 = 7,333円/日

休業損害: 7,333円 × 15日 = 109,995円

正しい計算 (稼働日数で割る)

660,000円 ÷ 66日 = 10,000円/日

休業損害: 10,000円 × 15日 = 150,000円

差額はなんと 40,005 円!

まとめ:交渉のポイント

もし、保険会社から提示された休業損害の計算書を見て「90日」で割られていたら、それは交渉のチャンスです。 「休業損害は、実際に労働できなかったことによる損害のはずです。そのため、1日あたりの基礎収入は、休日を含めない実稼働日数で計算するのが合理的ではありませんか?」と、この記事の例を参考に伝えてみてください。

この交渉で、多くの保険会社は稼働日数基準での再計算に応じてくれます。もし、休業損害以外にも争点があったり、交渉がうまくいかなかったりした場合は、ためらわずに弁護士にご相談ください。

© 新清水法律事務所 All Rights Reserved.

次回の記事にもご期待ください!

御相談はこちらから