特定技能にも触れます1

前回までは、技能実習のお話をさせていただきました。
今回からは、特定技能についてお話しいたします。

「特定技能」に係る制度とは、中小・小規模事業者をはじめとした深刻化する人手不足に対応するため、生産性向上や国内人材の確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていくものとされています。(JITCOウェブサイトより)

技能実習は、あくまでも国際貢献目的であって、人手不足解消目的ではありませんでした。
これに対し、特定技能については、人手不足解消目的であることが明示されたのです。

人手不足解消目的ですから、それなりに技能をお持ちの方に来日していただくことになります。
そのため、特定技能の対象となる方は、技能実習2号を良好に修了した方か、技能試験・日本語試験に合格された方が想定されています。

……そうです。「技能実習は国際貢献目的である。」と言いながら、特定技能の対象となる方には、元技能実習生が含まれます。
つまり、技能実習もまた、人手不足解消目的に舵を切ったのではないかと思われるところですが、深入りはしません。

「特定」技能の名のとおり、特定の技能をお持ちの方に限り、「特定技能」の在留資格が認められます。
「14分野がどうしたこうした」とか、「介護や建築分野で……」というニュースをお聞きになった方も多いと思います。
つまり、技能実習と異なり、特定の分野に従事する場合でないと、「特定技能」で来日することはできないのです。
この、特定の分野にあたるか否かという点は、相当複雑であり、ご説明しようと思ったら、相当な文字数が必要になります。

そして、めでたく、皆様の会社が、「特定」の分野にあたるとしても、次に超えなければならないハードルがあります。

それは、受入機関(=受入企業)として適切かどうかという点です。
「それは、技能実習でも同じでは?」とお考えになった方も多いでしょう。
もちろん、外国人の側から見れば同じです。技能実習だろうと、特定技能だろうと、適切な企業でなくてはなりません。

しかし、企業側からすると、特定技能の方が、より慎重にならなければなりません。
というのも、違法なことをした場合の手続きの流れが異なるからです。

技能実習の場合、何か違法なことが発覚し、技能実習計画の認定が取り消された場合に、初めて不法就労の問題が出てきました。

これに対し、特定技能の場合、実習計画の認定制度がありません。ついでにいえば、技能実習におけるような監理団体もありません。
登録支援機関というものはありますが、厳密にいえば、監理団体と役割は異なります。

そのため、違法な行為をしたら、即、不法就労状態になると解釈されています。
不法就労状態になった場合、不法就労助長罪の問題が出てくるのです。

したがって、もし、特定技能の方を迎えたい場合、受入企業は、受入機関としての適法性について細心の注意を払う必要があります。
ということで、次回は、受入機関の適法性についてお話しいたします。