民法改正講義案12(連帯債務・連帯債権・連帯保証1)

1 絶対効の範囲は、更改・相殺・混同のみ

【第441条】
第四百三十八条、第四百三十九条第一項及び前条に規定する場合を除き、
連帯債務者の一人について生じた事由は、他の連帯債務者に対してその効力を生じない。
ただし、債権者及び他の連帯債務者の一人が別段の意思を表示したときは、
当該他の連帯債務者に対する効力は、その意思に従う。
【第438条】
連帯債務者の一人と債権者との間に更改があったときは、債権は、全ての連帯債務者の利益の
ために消滅する
【第439条】
連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を
援用したときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
【第440条】
連帯債務者の一人と債権者との間に混同があったときは、その連帯債務者は、
弁済をしたものとみなす。

(1)ひとこと解説

連帯債務者の1人つき、更改・相殺・混同があった場合に限り、ほかの連帯債務者にも効果が生じます。

(2)詳細解説

連帯債務に関する絶対効は、更改・相殺・混同のみとなりました。
旧法では、絶対効となる行為は、いろいろありました(資格試験を受験するときに、必死で覚えたものです。)。

しかし、新法では、特に、更改・相殺・混同のみ、絶対効が生じるようになりました、特に、請求が相対効になったので、連帯債務者全員に請求しないと、履行遅滞にならなかったり、時効が進行したりしまいかねないことになるので要注意です。

(3)補足

連帯保証人についても同じです。

【第458条】
第四百三十八条、第四百三十九条第一項、第四百四十条及び第四百四十一条の規定は、主たる債務者と連帯して債務を負担する保証人について生じた事由について準用する。