動画制作者に伝えたい著作権の話7~料理と著作権~

ここまで著作権について色々検討してきました。
ふと思ったのですが、料理は著作権法で保護されるのでしょうか?
気になったので、調べてみました。

調べた結果、料理自体は、著作権法で保護されるものではないということが分かりました。
つまり、皆様がレストランに行き、料理を注文し、出された料理について写真を撮ることは、著作権法上問題はないということです。

また、わざとらしく下線が出てきました。
そうです。あくまで著作権法上は問題無いというだけです。

テーマパークの時と同様、レストランの経営者には、誰を招き入れるかの自由があります。
したがって、レストランの経営者が「写真撮影お断り」の方針を打ち出していた場合、料理の写真を撮ることは、著作権法上、問題がなくても、レストランの経営者が定めた規約違反にはなるということです。ご注意ください。

また、勘違いしないでいただきたいのは、料理自体を撮ることは著作権法上問題なくとも、料理の写真をさらに複製することは著作権法上問題があるという点です。
つまり、料理が写真に撮られた段階で、写真撮影者の著作権が発生しています。

漫画「美味しんぼ」で例えると、山岡さんが作った料理自体には、著作権が発生しません。しかし、近城カメラマンが山岡さんの料理を撮影した場合、近城カメラマンには、料理の写真について著作権が発生します。

また、アイデア自体は、著作権法で保護されません。再度、漫画「美味しんぼ」で例えると、山岡さんが「究極のメニュー」に載せられるくらいの画期的なレシピを思いついたとします。そのレシピを、山岡さんが富井副部長にだけ、こっそり口頭で教えたところ、富井副部長が、自分が考えたレシピとして料理を作り、東西新聞の文化部の皆様に振る舞ったとしても、著作権法違反にはなりません。

ただし、レシピも文字として表現された場合には、文字として表現されたものについては著作権が発生します。先ほどの例でいうと、山岡さんが、「究極のメニュー」としてレシピを東西新聞に掲載した場合、レシピページ自体について、山岡さんか東西新聞に著作権が発生します。したがって、その東西新聞のレシピページを複製することは著作権法違反です。

さて、先ほどの富井副部長の例で、またも、「著作権法違反には」の部分に下線が出てきました。
たとえば、富井副部長が、調子に乗って、「究極のメニューが食べられる屋台」などと銘打って副業を開始したらどうなるでしょうか。
この場合でも、著作権法違反にはなりませんが、不正競争防止法違反になる可能性が高いです(「究極のメニュー」が商標登録されていたら、商標法違反にもなりえます。)。

ものすごく大雑把にいって、不正競争防止法とは、他者のブランドと混同するような商売をしてはいけないという法律です。
「究極のメニュー」は東西新聞のブランドであって、富井副部長のブランドではありません。したがって、富井副部長は、究極のメニューを使って商売してはいけないのです。

ということで、料理自体には著作権法による保護は無いものの、抜け穴的なものはちゃんと塞がれているというお話でした。