相続法が変わります9

遺言執行者は、いわば遺言者の代理人となりました

 【1012条】
  1 遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
 【1013条】
  遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。

1 ひとこと解説

新法によって、遺言執行者は、遺言者の遺志を実現するべきであることが明確になった。

当たり前ではないかと思うかも知れません。しかし、旧法では、遺言執行者は、「相続人の代理人とみなす」と規定されていたので、相続人との関係が不明確だったのです。相続人の代理人ということは、相続人のために働かねばならないとも解釈できてしまうので、遺言者の遺志と、相続人の希望が相反した場合、どうすれば良いのかという問題が生じておりました。

2 具体的内容

遺言執行者の行為は、相続人に帰属します。

 【第1015条】 遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。

当たり前ではないかと思うかも知れません。しかし、いくら遺言執行者はいわば遺言者の代理人であるといっても、遺言者は亡くなっているので、遺言執行者の行った行為の結果を受け取ることができません。そのため、わざわざ条文が必要なのです。