民事IT裁判FAQ22~双方web会議で和解可能~

Q 令和5年3月1日から、原告被告双方がweb会議でも和解が可能と聞きましたが?

A はい。これまでは、原告被告双方がweb会議の場合、一度調停に付すなど、ひと手間加えないと和解できないとされてきました。
しかし、令和5年3月1日からは、調停に付さなくても和解できるようになったのです。

Q ひょっとして、弁論準備も双方web会議で可能になったのでしょうか。

A はい。弁論準備も、双方web会議でできるようになりました。

【解説】
上記のQ&Aのとおりです。以下のような条文ができました。

(和解の試み等)

民訴法第八十九条 裁判所は、訴訟がいかなる程度にあるかを問わず、和解を試み、又は受命裁判官若しくは受託裁判官に和解を試みさせることができる。

 裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、和解の期日における手続を行うことができる。

 前項の期日に出頭しないで同項の手続に関与した当事者は、その期日に出頭したものとみなす。

新民訴法89条2項により、原告被告が双方web会議であっても、和解ができるようになったのです。
しかも、新民訴法89条3項により、「出頭したものとみなす」という規定まで出来たため、名実ともに双方が出頭して和解をするという建前が通るようになったのです。

さらに、双方web会議でも弁論準備手続ができるようになりました。

(弁論準備手続における訴訟行為等)
民訴法第百七十条 裁判所は、当事者に準備書面を提出させることができる。


2 裁判所は、弁論準備手続の期日において、証拠の申出に関する裁判その他の口頭弁論の期日外においてすることができる裁判及び文書(第二百三十一条に規定する物件を含む。)の証拠調べをすることができる。

 裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、弁論準備手続の期日における手続を行うことができる。

 前項の期日に出頭しないで同項の手続に関与した当事者は、その期日に出頭したものとみなす。

 第百四十八条から第百五十一条まで、第百五十二条第一項、第百五十三条から第百五十九条まで、第百六十二条、第百六十五条及び第百六十六条の規定は、弁論準備手続について準用する。

つまり、これまでは、双方web会議の場合、書面による準備手続扱いだったので、書類が正式な提出として扱うことができませんでしたし、証人尋問の日程も正式決定できませんでした。

しかし、今後は、書類は正式な提出として扱うことができ、証人尋問の日程も正式決定できるようになったというわけです。

ちなみに、進行協議期日も双方web会議でできることが明示されました。

民訴規則第九十六条 裁判所は、相当と認めるときは、当事者の意見を聴いて、裁判所及び当事者双方が音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、進行協議期日における手続を行うことができる。