相続法が変わります10

遺留分減殺請求権は、金銭支払請求権のみになりました

【1046条】
1 遺留分権利者及びその承継人は、受遺者(特定財産承継遺言により財産を承継し又は相続分の指定を受けた相続人を含む。以下この章において同じ。)又は受贈者に対し、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。

1 ひとこと解説

これまで、遺留分減殺請求権を行使すると、所有権などの物権が移転するものとされてきました。
つまり場合によっては、登記請求などもできたことになります。
しかし、新法では、金銭の支払請求に限ってできるものとされました。

2 そもそも「遺留分減殺請求権」とは?

基本的には、遺言書の内容は自由です。どんなに不公平であっても、無効になることはありません。
しかし、基本的には、法定相続人は、被相続人(亡くなった人)が亡くなった後は、被相続人の財産で生活することを期待しています。
そのため、法定相続分の半分までは、相続する権利が保障されています。この権利のことを遺留分減殺請求権といいます。

3 例

Aさんは、Bさんという配偶者と、Cという子がいました。Aさんは2000万円分の土地建物のみを持っていました。Aさんは、「Bに財産の全てを相続させる」という遺言書を書いて死亡しました。

このとき、CはBさんに対して500万円(2000万×法定相続分2分の1×2分の1)を現金で支払うよう、請求できます。
旧法では、Cは、Aさん名義の土地建物4分の1の権利を取得することになっていたのです。