離婚調停を考えている方へ:弁護士は必要?

離婚調停でも弁護士に御相談を

離婚調停を考えているあなたへ

弁護士に依頼するか迷っているなら「調停」が選択肢に

「離婚したいけれど、いきなり裁判は…」「弁護士に頼むべきかどうかわからない」
そんなふうに迷われているなら、まずは家庭裁判所の「調停」という手続きを検討してみてはいかがでしょうか。調停は、裁判官と調停委員を交えて、夫婦間の問題を話し合いで解決する手続きです。ここでは、その基本的な流れと、専門家から見た注意点について分かりやすく解説します。

悩んでいる男女のイラスト

調停の基本的な流れ

夫婦で家庭裁判所へ

夫婦双方が指定された日時に家庭裁判所に出向きます(今は、インターネットでの参加も認められる場合があります。)。

初回の手続き説明

初回のみ、夫婦が同席して調停委員から手続きの説明を受けます(弁護士同席の場合は省略されることも)。

別々の待合室へ

説明後、夫婦はそれぞれ別の待合室で待機します。顔を合わせる必要はありません。

交互に調停室へ

夫婦が一人ずつ順番に調停室に呼ばれ、調停委員(通常は年配の男女2名)に自分の言い分や希望を話します。

話し合いの繰り返し

一人が話し終わると待合室に戻り、もう一方が呼ばれます。これを数回繰り返します。

次回の期日へ

その日の調停は終了し、約1~2か月後に次回の期日が設定されます。

調停のゴールは?

調停成立

話し合いの結果、夫婦双方が合意に至れば調停成立となり、離婚が成立します。
合意内容は「調停調書」という公的な文書にまとめられます。

調停不成立

話し合いを重ねても合意できないことが明確になった場合、調停は不成立となります。
その後、離婚を望む側は「裁判(訴訟)」を起こすことができます(裁判に進むかは任意です)。

弁護士がいないことの「リスク」

調停は口頭での話し合いが中心なので、一見すると弁護士は不要に思えるかもしれません。ご本人が直接事情を話す方が説得力がある場面も確かにあります。しかし、そこには大きな落とし穴が潜んでいます。

注意点:調停委員は法律の専門家ではないことがある

調停委員は、豊富な社会経験を持つ良識ある人物が選ばれますが、必ずしも法律の専門家(弁護士など)とは限りません。そのため、法的な観点から見て不適切な内容で合意を勧められたり、後々トラブルになるような文書が作成されたりするリスクがあるのです。

リスク①:不利な条件で合意してしまう

紛争解決を急ぐあまり、法的に妥当な金額よりも著しく低い養育費や慰謝料で合意するように説得されるケースがあります。一度合意してしまうと、後から覆すのは非常に困難です。

リスク②:強制執行できない「調停調書」が作られてしまう

「調停調書」は、相手が約束(養育費や慰謝料の支払いなど)を守らなかった場合に、裁判所の力で強制的に財産を差し押さえる「強制執行」ができる強力な文書です。しかし、書き方一つでその効力がなくなってしまうことがあります。

たった一言で大違い!強制執行できる・できない文言

強制執行できる可能性が高い

「AはBに対し、慰謝料として100万円を支払う

「支払う」という断定的な表現により、支払い義務が明確になります。これにより、相手が支払わない場合に強制執行の手続きに進みやすくなります。

強制執行できない可能性が高い

「AはBに対し、慰謝料として100万円の支払い義務があることを認める

「認める」という表現は、単に義務の存在を確認しただけで、支払い自体を命じているわけではないと解釈される可能性があります。このため、強制執行が認められないことが多いのです。

ご自身では同じ意味だと思っていても、法的には全く異なる結果を生みます。
この違いに気づかずに合意してしまうと、後で取り返しのつかないことになりかねません。

後悔しないために、専門家にご相談を

弁護士と相談する人のイラスト

法的な解釈や、相手方との交渉が必要な場面では、やはり弁護士が的確に対応できます。特に、最終的な合意内容を記す「調停調書」を作成する段階では、専門家のチェックが不可欠です。

ベストな選択

したがって、調停の期日には毎回弁護士に同席してもらうのが最も安全です。

最低限でもこれだけは

もし、弁護士費用の負担が大きい場合でも、調停がまとまりそうになった最終段階だけでも弁護士に相談し、「この条件で合意して本当に問題ないか」を確認してもらうことを強くお勧めします。

決して、おひとりの判断だけで合意をしないでください。