民事IT裁判FAQ12~弁論準備に戻れる?~

Q 現在、IT裁判で書面による準備手続を利用中です。しかし、やはり、弁論準備の方がしっくりきます。もう、弁論準備は利用できないのでしょうか。

A 書記官さんに言えば、弁論準備にしてもらえます。

【解説】
IT裁判は、書面による準備手続です。しかし、一度始めたら証人尋問までずっと書面による準備手続を利用しなければならないという条文は存在しません。したがって、いつでも、書面による準備手続きを打ち切って、弁論準備にすることは可能です。

現に、弁論準備にする必要性のある場面は、珍しくありません。たとえば、和解金を席上交付したいとか、依頼者が電話ではなく直接対面で裁判官と話したがっているとか、原本確認したいなど、IT裁判ではできないことがあります。そのため、いつでも弁論準備に戻せます。

また、必要性がなくても差し支えないとされています。例えば、「いつもはIT裁判だったが、別の用事で裁判所に来たので、今回だけ通常の弁論準備にしてほしい。」という場合でも、対応してもらえます(ただし、裁判所内部的には、こまごました手続があるので、弁論準備にしたくなったら、できる限り早く言ってほしいようです。)。

やはり、2022年4月時点では、IT裁判の利用は、完全希望制なので、弁論準備に戻すのも希望に応じてくれるようです。

ということで、お試しのつもりで、IT裁判を利用するということも可能という話でした。