民事IT裁判FAQ9~IT裁判に出席できるのは誰?~

Q IT裁判をすることになりました。でも、私は、ITに不慣れなので、ITに詳しい事務員を同席させることは可能でしょうか?

A 裁判官の判断となりますが、通常の弁論準備手続以上に、同席は認められない可能性が高いと思われます。

【解説】
IT裁判は、原則として書面による準備手続きであり、弁論準備と同様、非公開の争点整理手続とされています。
そのため、弁論準備と同様、出頭できるのは、原告本人・被告本人・依頼を受けた弁護士となるのが原則です。

そして、例外的に、裁判官が認めた場合には、原告本人・被告本人・依頼を受けた弁護士以外でも同席できることになりそうです。
ただ、書面による準備手続きには、弁論準備における民訴法169条2項に相当する条文がないためか、これまでの裁判所の態度を見る限り、例外的に認められる場面は、かなり少ないのではないかという印象を持っております。

(弁論準備手続の期日)
民訴法第百六十九条 弁論準備手続は、当事者双方が立ち会うことができる期日において行う。
2 裁判所は、相当と認める者の傍聴を許すことができる。ただし、当事者が申し出た者については、手続を行うのに支障を生ずるおそれがあると認める場合を除き、その傍聴を許さなければならない。

したがって、IT裁判中、ずっと事務員が同席するというのは、かなり厳しいのではないかと思います。


ただ、もちろん、IT裁判前や後に、事務員が関与することは可能です。たとえば、Teamsのログイン・セッティングをして、「参加」ボタンさえ押せばIT裁判に参加できるような状態にするのに、事務員が関与することは、全く問題ありません。また、IT裁判後、ログアウト等の操作をしてもらうことも、可能です。

また、IT裁判中、急に不具合が生じた場合に、裁判官の許可を得て、一度IT裁判から離脱し、事務員に対応を求めるということも可能でしょう。

あくまで、IT裁判の内容を、事務員に、見せたり聞かせたりすることはできないという意味です。
IT裁判外の範囲では、事務員の力を借りることは可能と思われます。