民事IT裁判FAQ7~カラーの証拠を見せやすい~

Q 画面共有によって、動画共有をしやすいということは分かりました。でも、動画を出す事件って、そんなに多くないような……?

A 写真など、カラーの証拠を裁判官に見せやすいというメリットもあります。

【解説】
当然ですが、FAXでカラー写真は送れません。モノクロになることはもちろん、解像度の関係か、真っ黒になるということも珍しくありません。
そこで、IT裁判ではない場合、カラー写真を裁判官に見てもらいたい場合には、私は、①カラー写真そのものを証拠として裁判所に郵送するか、②カラー写真のデータをワードなどに張り付けて、カラーで印刷して裁判所に郵送するかのいずれかを行っていました。

ただ、①は、コンビニ等で写真プリントしなくてはならず、費用も手間もかかります。②はそれなりに簡単ですが、どうしても写真本体の色合いと、印刷後の色合いに差異があることは気になります。

しかし、IT裁判ですと、画像データをアップロードすることが認められています。
したがって、写真本体の色合いを裁判官に見てもらう方法としては、写真をスキャナで取り込んで画像データとし、その画像データをアップロードすればよいことになります。
スマホやデジカメで撮った写真など、もとからデータになっている場合には、データをそのままアップロードすれば足りることはいうまでもありません。

このように、IT裁判では、カラーの証拠を、裁判官に見せる方法が簡便になったといえます。

なお、ここまで、「裁判官に見せる」という曖昧な表現をし、「裁判所に提出する」という表現を用いなかったことには理由があります。
それは、現時点において、Teamsへのアップロードは、正式提出の扱いになっていないからです。
つまり、Teamsへアップロードしても、アップロードされたデータは、正式な裁判記録とは認められません。
mintsへのアップロードは、正式提出扱いになるようです。)

そのため、正式な提出として扱ってもらうためには、やはり、上述の①か②をする必要が出てきます。


ただ、正式な提出として扱ってもらいたいという場面が生じるのは、IT裁判の段階では和解が成立せず、口頭弁論・証人尋問が必要になった場合がほとんどだと思われます。口頭弁論・証人尋問が必要になる事件の件数はそれほど多くないはずなので、全件で①か②をする必要はなくなります。そういう意味では、便利であるといえるのではないでしょうか。