民事IT裁判FAQ6~画面共有って便利?~

Q IT裁判によって、画面共有が可能になると聞きました。しかし、画面共有の何が便利なのか、よく分かりません。

A 動画の共有が便利になります。

【解説】
IT裁判では、今のところ、Teamsを使っています。Teamsによって、画面共有が可能になりました。そして、画面共有が威力を発揮する場面の1つは、動画の共有だと考えます。

たとえば、交通事故で、事故態様が争いになったとします。事故態様をもっともよく示すのは、ドライブレコーダーによる動画でしょう。
もちろん、動画そのものを証拠として提出するのは、IT裁判でなくても可能です。
動画をDVDなどに焼いて、裁判所に提出すればよいのです。そして、書面で主張を展開するのが原則ではあります。
たとえば、「甲〇号証の動画の1分20秒から被告が、下を向いて携帯電話を操作しているのが見てとれる。次に、1分22秒時点で被告運転車両がセンターラインを越えるのが確認できる。そして、1分25秒時点で原告運転車両と衝突した。したがって、被告の前方注視義務違反により、本件事故が発生したといえる。」などと言葉で説明するのが原則です。

しかし、どうしても、動画を裁判官に見せつつ、口頭で主張した方が分かりやすい場合があることは否定できません。
そのような場合、IT裁判でなかったときは、どうしていたでしょうか。

自分のノートパソコンを、弁論準備の部屋に持ち込んで、動画を再生するということは一つの選択肢でした。
しかし、ノートパソコンは、覗き込み防止機能や覗き込み防止フィルターがついていることが多いですし、そもそもノートパソコンの画面はそこまで大きくないので、原告・被告・裁判官の3人が同時に見ることは難しかったです。

したがって、裁判所の機器を使わせてもらうことになります。
ただし、裁判所のパソコンを使わせてもらえることは稀であり、通常は、裁判所のDVDプレイヤーとモニターを使わせてもらうことになります。
そうなると、まず、裁判所のDVDプレイヤーの操作方法から学ばねばなりません。動画の中で重要なのは、ほんの数秒であることが多いので、何秒単位で早送りできるのか、コマ送りできるのかは重要になります。しかし、この機能を把握するのには時間がかかります。


これが、IT裁判だと、だいぶ楽になります。

まず、使用する機器は、当然、自分のパソコンです。また、使用するデータが問題なく動くか否かも、事前に確認ができます。
そのうえ、自分が普段使用している動画再生ソフトを使えます。
そのため、機能を改めて把握する必要もありません。

このように、IT裁判では、画面共有機能によって、動画の共有が格段に便利になったといえます。