民事IT裁判FAQ3~弁論準備との違いは?~
※民訴法改正により、今後は、IT裁判でも弁論準備が使われるようになると思われます。そのため、本ページの重要度は格段に減少したと思われます。
詳しくはFAQ22をご確認ください。
Q IT裁判が弁論準備ではなく、書面による準備手続であることは分かりました。弁論準備手続とはどのような違いがありますか?
A 主な点は2つと考えます。①書面による準備手続では、提出書面は全て陳述扱いにならず、証拠も正式な取り調べにはなりません。②和解するのに一工夫が必要になります。
【解説】
弁論準備手続では、準備書面を提出したり(民訴法170条1項)、陳述したりすることが可能です(民訴法170条5項、148条)。
また、書証の取り調べも可能です(民訴法170条2項)。
しかし、書面による準備手続には、上記のような条文がありません。
したがって、正式な陳述や正式な取り調べはできません。
ただ、書面による準備手続において、準備書面や書証が提出できないという意味ではありません。
事実上、書面や証拠を提出して、議論を進めることになります。
正式な、陳述や取り調べは、後日行われる、口頭弁論期日にて実施されることが多いでしょう。
ちなみに、人証の申出も、証拠決定も、条文が無いので、書面による準備手続としては出来ないとされています。
ただ、人証の申出は期日外にできるとされており(民訴法180条2項)、証拠決定についても条文上の制限がないことから、期日外でも出来ます。
したがって、書面による準備手続において、事実上、人証の申出書を提出し、人証の採否の決定をし、証人尋問の期日まで決め、期日外で正式決定するという対応をしているようです。私も、実際の事件では体験したことがありませんが、模擬裁判では、同様の体験をしました。
なお、証人尋問の日程について期日外で正式決定ということは、請書の提出も必要になるでしょう。
ということで、「①書面による準備手続きでは、提出書面は全て陳述扱いにならず、証拠も正式な取り調べにはなりません。」という話でした。
次回は、「②和解するのに一工夫が必要になります。」という点について、お話します。