民法改正講義案12(連帯債務・連帯債権・連帯保証2)

2 他の連帯債務者の債権による相殺は履行拒絶にとどまる

 【第439条】
2 前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、
その連帯債務者の負担部分の限度において、他の連帯債務者は、
債権者に対して債務の履行を拒むことができる。

(1)ひとこと解説

自分以外の連帯債務者が、相殺できる場合であっても、履行を拒絶できるにとどまります。

(2)詳細解説

そもそも、なぜ、自分以外の連帯債務者が相殺できる状態にあると、履行拒絶できるのか疑問の方もいらっしゃるでしょう。

実は旧法下では、履行拒絶どころか、自分の負担部分であれば、勝手に相殺できることになっていたのです。
それは、あんまりなので、履行拒絶にとどまるようになりました。
新法では、勝手に相殺されることはなくなったわけです。

(3)例

ABCが、Xに対し300万円の連帯債務を負っていたとします(負担部分は均等です。)。
ここで、Aが、Xに対し、200万円の債権を持っていたとします。
この場合、BやCは、Aの負担部分である100万円について、履行を拒むことができます。

旧法では、100万円について、相殺援用できたのです。Aは自分が意思表示していないのに、100万円の債権を失うことになっていました。

浅井裕貴弁護士(静岡県弁護士会)

静岡市清水区出身の弁護士。一橋大学・中央大学法科大学院卒業、静岡県弁護士会所属。ネットの誹謗中傷・発信者情報開示請求(意見照会・トレント対応を含む)、相続・遺言、交通事故案件に注力。基本情報技術者の知見を活かし、IT・インターネット分野の法律問題に対応している。