民法改正講義案11(債権譲渡5)

5 「異議をとどめない承諾」は廃止

【第468条】
1 債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することが
できる。

(1)ひとこと解説

債権譲渡の際に、特に何も言わなくても、譲受人(新しい債権者)に対し抗弁を主張できます。

(2)詳細解説

旧法下では、債務者が、債権譲渡の承諾をする際、異議を述べておかないと、譲受人に抗弁を主張できなくなるとされていました。
しかし、新法では、異議を述べておかなくても、譲受人に対抗できるようになりました。

(3)補足

敢えて抗弁権を放棄した場合は、もちろん、別の話になります。

(4)例

AさんがBさんに対し、甲債権を持っていたとします。その後、AさんはCさんに甲債権を譲渡しました。

Bさんは、譲渡を承諾する際、何の異議も述べなかったとしても、BさんがAさんに対し、同時履行の抗弁権を持っている場合、BさんはCさんに対し、履行を拒むことができます。

Bさんは、譲渡を承諾する際、「Aさんに対する抗弁権を放棄する」と述べました。BさんはCさんに対し、履行を拒むことができなくなります。

浅井裕貴弁護士(静岡県弁護士会)

静岡市清水区出身の弁護士。一橋大学・中央大学法科大学院卒業、静岡県弁護士会所属。ネットの誹謗中傷・発信者情報開示請求(意見照会・トレント対応を含む)、相続・遺言、交通事故案件に注力。基本情報技術者の知見を活かし、IT・インターネット分野の法律問題に対応している。