民法改正講義案9(詐害行為取消5)

5 詐害行為取消を受けたらお金は返す

【第425条の2】
債務者がした財産の処分に関する行為(債務の消滅に関する行為を除く。)が取り消されたときは、
受益者は、債務者に対し、その財産を取得するためにした反対給付の返還を請求することができる。
債務者がその反対給付の返還をすることが困難であるときは、受益者は、
その価額の償還を請求することができる。

(1)ひとこと解説

詐害行為取消を受けた場合、すでに受け取っているお金は返さなければいけません。

(2)例

AさんがBさんにお金を貸しました。Bさんは無資力になったので、自分の唯一の財産である甲不動産を、Cさんに100万円という格安で譲渡しました。

AさんがCさんに対し詐害行為取消請求訴訟を提起し、勝訴しました。
この場合、Bさんは受け取った100万円をCさんに返さなければなりません。

当たり前ではないかとお考えかも知れません。しかし、旧法では、詐害行為取消請求訴訟の効果が及ばないことになっていたので、必ずしもBさんはお金を返す必要がなかったのです。