【相続の注意点】借金を引き継がないための2つの重要知識
人生で一度は訪れるかもしれない大切な問題です。
本来、相続を語る上では「単純承認」「相続放棄」「限定承認」といった話から入るべきかもしれません。しかし、今回は皆様にどうしても知っておいていただきたい2つの重要なポイントに絞って、分かりやすくご説明します。
1 借金も相続してしまいます
相続とは、亡くなった方のプラスの財産(預貯金や不動産など)を引き継ぐこと、と多くの方が認識されています。しかし、非常に重要な点として、マイナスの財産、つまり「借金」も引き継いでしまうのが原則です。
注意:借金は「自動的」に引き継がれます
これは、たとえ相続人が借金の存在を知らなかったとしても、引き継いでしまうことを意味します。
例えば、お父様が亡くなって半年後、突然「お父様にお金を貸していました」と借金の証文を持った方が現れるケースも考えられます。生前に借金の話を聞いていなくても、相続放棄や限定承認の手続きをしていない限り、その借金を支払う義務が発生してしまう可能性があるのです。
万が一の事態になったら
借金の支払いを免れることができるケースもあります。このような事態に陥ったら、諦めずに至急弁護士にご相談ください。
2 相続放棄は「家庭裁判所」で

非常に多い勘違い
「遺産分割協議で『借金は相続しない』と決めたから大丈夫」というのは間違いです。
法律上、正式な「相続放棄」と認められるのは、家庭裁判所で所定の手続きを行った場合のみです。相続人同士で作成した「遺産分割協議書」に何を書いても、法的な相続放棄にはなりません。むしろ、その協議書に署名捺印したこと自体が、相続を承認した証拠と解釈されることさえあります。
【具体例】もし遺産分割協議書だけで済ませたら…
長男・次男・三男で、「長男が全ての財産と借金を相続する」という内容の遺産分割協議書を作成したとします。
この場合、債権者(お金を貸した人)は、次男や三男にも借金の返済を請求できます。次男・三男は財産を一切もらえないにも関わらず、借金の支払義務だけを負うという、非常に不利な状況に陥ってしまいます。
(※支払った後に長男へ返済(求償)を求めることは可能ですが、長男に返済能力がないケースが多く、泣き寝入りになりがちです。)
借金を相続したくないなら、必ず家庭裁判所で手続きを
相続は専門的な知識が必要です。ご自身の判断で進めてしまう前に、一度専門家にご相談ください。
弊事務所では、相続放棄に関するご相談にも対応しております。
こちらのページもご覧ください。