静岡「市」独自の住宅支援制度も選択肢に

修理するにせよ、解体するにせよ、一時的な仮住まいが必要になります。

その場合、数カ月であれば、借り上げ住宅(いわゆるみなし仮設住宅)に入れる可能性があります。

ただ、現時点では、よく似た制度が2つあるために、相談をお受けする私も混乱することがしばしばです。
ということで、一緒に見ていきましょう。

2つの制度とは、

1 静岡県が行う借上げ型応急住宅

2 静岡市が行う静岡市被災者応急住宅支援金

です。

1の方は、発災直後からアナウンスがあったものです。弁護士永野海先生のウェブサイトから拝借している、支援内容をまとめたものでいえば、「災害公営住宅」にあたるものです。

静岡県が行う借上げ型応急住宅は、応急修理制度を使わない方で、半壊以上の方であれば、借上げ型応急住宅の契約条件等を満たす住宅に、最大2年入居できる可能性があります。
なお、家賃の上限を超えている場合には、対象になりません。たとえ、被災者が差額を自己負担すると言っても不可です。
応急修理制度を使う方でも、発災から6カ月以内でかつ修理期間内であれば、入居できる可能性があります。
(例によって、資力も条件に挙げられていますが、さすがに資力は緩やかに解釈されているようです。)

対象者が半壊以上の方に限られていること、住もうとする住宅に条件が付けられていることからすると、若干条件が厳しいという印象を受けます。借上げ型応急住宅の契約条件等を満たす賃貸を探すのが難しいというご相談を受けることも珍しくありません。

このような声を受けてでしょうか、静岡市が、独自の制度を設けてくれました。静岡市が行う静岡市被災者応急住宅支援金です。
こちらは、床上浸水以上の方が対象です。つまり、床上浸水で準半壊の認定を受けた方も対象になります。
期間は、持ち家の方が最大6カ月・賃貸の方が最大3カ月です。

静岡市が行う静岡市被災者応急住宅支援金については、住もうとする住宅に制限がありません。静岡県が行う借上げ型応急住宅の条件を満たさない住宅を借りる場合でも、対象になります。
また、家賃の上限額は、静岡県が行う借上げ型応急住宅と同じです。しかし、上限を超えた住宅であっても、差額を自己負担すれば、対象となります
ただし、お金が貰えるのは、3カ月経った後です。つまり、当面のお金は、被災者が支払って、あとで静岡市からもらうイメージです。
だからこそ、「借り上げ」とは言わずに、「支援金」と呼ぶのかも知れません。

以上を踏まえると、発災から6カ月を超えて住みたい方は、まず、静岡県が行う借上げ型応急住宅を検討なさるのが良いと思います。
逆に、発災から6カ月以内で構わないという方は、静岡市が行う静岡市被災者応急住宅支援金を、まず検討なさるのが良いでしょう。

なお、静岡県が行う借上げ型応急住宅も、静岡市が行う静岡市被災者応急住宅支援金も、窓口は、静岡市の住宅政策課 住まいまちづくり係です。当面の間は、清水区にも窓口があります。したがって、「どちらを使ってよいのか、よくわからない。」という方は、とりあえず窓口にいって、両方の制度について聞いてみることをお勧めします。

ちなみに、市営住宅の一時使用制度も、あるにはあります。ただ、どの市営住宅に入るかも選べないため、上手に使うのは難しいようです。