民事IT裁判FAQ15~裁判官がいなくては始まらない~
Q より議論を深めるため、原告側の弁護士と被告側の弁護士だけで、裁判所のTeamsで議論してもよいでしょうか。
A 裁判官のいない状態で、裁判所のTeamsを使うことは認められていません。
Q そうはいっても、裁判官が期日の時間になっても現れない場合くらいは、原告か被告がWeb会議を起ち上げて、議論しながら裁判官を待つことくらいは良いですよね?
A 裁判所のTeamsは、裁判官しかWeb会議を起ち上げてはならないことになっているので、やはり認められていません。
Q では、裁判官が期日の時間になっても現れない場合、どうしたら良いのでしょうか。
A 基本的には、書記官が、チャット等で裁判官が遅れる旨と、どれくらい遅れる見込みかを伝えてくれることが多いようです。そのようなチャットがあれば、遅れ見込みの時間までは、別の仕事をしていればよいということになります。
【解説】
内々に話を聞いたところ、最高裁とマイクロソフトとのライセンス契約の関係で、裁判官以外がweb会議を起ち上げることが認められていないそうです。
そのため、弁護士の側でweb会議を起ち上げることは認められていません。仮に、起ち上げても、裁判官から「こちらで起ち上げ直しますので、一旦ご退出をお願いします。」と言われます。
それくらい、厳密なライセンス契約になっているようです。
ただ、そうなると、裁判官が期日の時間になっても現れない場合、どうしたら良いのかという気持ちになると思います。通常の弁論準備室で、原告側弁護士と被告側弁護士が議論することは禁じられていないため、裁判官が来るまで、「ところで、この訴訟の○○の点ですが……」などと話を切り出し、議論を深めていくことは珍しくありませんでした。
しかし、IT裁判では、そのような時間の潰し方が禁止されるという訳です。
そのため、書記官が、Teamsのチャット機能等で、「前の期日が長引いており、○○分くらい開始が遅れる見込みです。」などと、伝えてくれることが多いようです。
「必ず」ではなく、「多い」とぼかしたのは、前の期日が証人尋問等で、書記官も席を外せない場合には、チャットすらもらえないことになるからです。
書記官も席を外せない場合は、ただひたすら待つしかないということになるでしょう。