このページでは、発信者情報開示請求に関する記事を記載しております。
少し長めなので、Q&Aページを別にご用意しました。
お時間のない方は、Q&Aページからご覧ください。
〇弁護士は、誹謗中傷の書き込みに対して何ができるか
弁護士は、「発信者情報開示請求」と、「削除請求」ができます。
「発信者情報開示請求」とは、発信者(=書込者)の個人情報の開示を求めることです。発信者の個人情報が分かれば、訴訟を起こして損害賠償請求できることになります。
「削除請求」とは、文字どおり、書き込みの削除を求めることです。削除に成功すれば、これ以上、名誉を毀損されることはなくなります。
「発信者情報開示請求」と「削除請求」の対象となる典型例としては、5ちゃんねるや爆サイなどの掲示板への書込みです。ただ、グーグル(Google)の口コミや、ツイッター(Twitter)などのSNSについても、発信者情報請求や削除請求が可能となる場合もあります。
なお、弁護士以外の者が、発信者情報開示請求や削除請求をすることは、弁護士法違反となる可能性が高いです。
逆にいえば、弁護士以外の業者から、「発信者情報開示しますよ」「口コミの削除しますよ」と言われた場合、十分ご注意ください。
〇発信者情報開示請求
・インターネットは、完全な匿名ではありません
インターネット上では、匿名による書き込みが可能な掲示板が多いです。
そのためか、平気で、名誉棄損的な書き込み、誹謗・中傷の書き込みをする方がいます。
しかし、インターネットといえども、完全な匿名ではありません。
書き込み者を特定できる場合が、意外と多いのです。
なぜなら、インターネットに接続するには、大抵の場合、プロバイダ(OCN等)を経由しています。
プロバイダとの契約の際、必ず個人情報のやりとりがあります。
そのため、書き込み者が使ったプロバイダを突き止めれば、書き込み者がわかることが多いのです。
プロバイダを突き止めるためには、IPアドレスが必要です。IPアドレスとは、インターネット上の住所と表現されます。表記自体は、123.456.789.012というような数字の羅列です。しかし、IPアドレスを調べれば、プロバイダが判明します。
ただし、IPアドレスは、時間ごとに変わることが多いので、IPアドレスだけでは、書き込み者本人を特定できません。
そこで、タイムスタンプを示して、「この時間に、このIPアドレスを使った者を教えてほしい」とプロバイダに依頼することによって、書き込み者を特定することができます。
・発信者情報開示請求の流れ
大雑把な流れは以下のとおりです。また、インターネット関係でよくあるご質問のページでは、FAQ形式でご説明をしております。お試しくださいませ。
- 被害者の方がインターネット上の掲示板で名誉棄損的な書き込みを発見し、弁護士に相談する。
- 依頼を受けた弁護士は、掲示板の管理人に連絡し、名誉棄損的な書き込みをした者のIPアドレスとタイムスタンプを開示するように求める。
- 開示に応じたら(この段階ならば、裁判をしなくても開示に応じることがあります。)、その書き込みを削除してもらう(削除には応じることが多いです)。可能ならば、書き込み者を、その掲示板にアクセスできないような措置を講じてもらう。
- 開示に応じない場合、裁判所を通じて開示・削除してもらう(仮処分を用いることが多いです。そのため、弁護士費用以外に数十万円の担保金が必要となります。)。
- 書き込み者のIPアドレスとタイムスタンプがわかったら、プロバイダを特定し、プロバイダに対して、書き込み者の個人情報を開示するように求める。
- プロバイダは、開示をしてこないことが多い。開示に応じなければ、裁判所を通じて開示してもらう。裁判の前に、「開示しないのであれば、書き込み者の情報を保存しておいてほしい。」という依頼をする。保存の依頼には応じることが多いので、応じてもらえれば、通常の裁判をする。
- もし、保存の依頼にすら応じなければ、仮処分を用いる。
- 書き込み者の個人情報がわかれば、その個人情報をもとに、損害賠償請求をする。(ここまでくれば、通常の民事事件と変わりません。)
・弁護士に相談するメリット
裁判所による手続きがスムースに進む
4と6でお分かりのとおり、一つの案件で、2回裁判をすることがあります。
法律上、弁護士以外の方でも裁判は可能ですが、裁判手続には厳格なルールがあるため、
弁護士に依頼した方が無難です。
迅速な対応が可能になる
プロバイダは膨大な情報を処理しているため、一定期間(プロバイダによりますが、数週間~数か月ということです。)で情報を破棄してしまいます。
もし、6の段階で情報が破棄されていた場合、もはや手の打ちようがありません。
したがって、発信者情報開示請求は、時間との勝負です。
一般の方はお仕事や学校でお忙しく、迅速に手を打つというのは困難かと思います。
名誉棄損的な書き込みを受けた場合には、一刻も早く弁護士に相談してください。
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