【法改正速報】民事訴訟法(証拠収集等関係)の見直しを法制審に諮問/飲食料品の消費税率1%への臨時引下げ大綱を閣議決定(2026年9月15日)

対象期間:2026年9月13日〜9月16日。報告件数は2件(いずれも法改正に向けた動きであり、法律の成立・施行ではありません)、ほか参考3件です。

対象期間中、法律の新たな成立・公布・施行は、公的機関サイト上では確認できませんでした。個人情報保護法・著作権法・電気通信事業法・情報流通プラットフォーム対処法などインターネット関連法の新たな成立・公布・施行も確認されていません。他方、今後の法改正に直結する重要な動きが2件ありましたので、区分を明示して報告します。

1. 民事訴訟制度の見直しに関する諮問第131号(法制審議会第206回会議)

  • 法律名:民事訴訟法(民事訴訟制度の見直し)
  • 区分:法制審議会への諮問(2026年9月14日開催) ※成立・施行ではありません
  • 施行日:改正法案自体が未策定のため、施行日未定

概要
法制審議会第206回会議において、民事訴訟制度の見直しに関する諮問第131号が取り上げられ、事務当局から諮問に至った経緯・趣旨等の説明が行われました。本諮問は新たに設置された「民事訴訟法(証拠収集等関係)部会」に付託され、同部会の報告を受けた後に総会で改めて審議されることとされています。配布資料として「民事訴訟制度の見直しについて」が公開されています(議事録は準備中)。

実務上のポイント
部会名から、見直しの中心は民事訴訟における証拠収集手続(文書提出命令、当事者照会、提訴前の証拠収集処分等)にあると解されます。インターネット関連業務では、匿名の権利侵害事案においてプラットフォーム事業者等の第三者から証拠を得る手段が限られることが実務上の隘路となっており、証拠収集制度の改正は発信者情報開示・削除請求・損害賠償請求の各実務に直接影響し得ます。もっとも現時点は諮問段階であり、具体的な改正項目・方向性は公表資料からは確定できません。今後の部会審議の推移を注視する必要があります。

出典:法務省「法制審議会第206回会議(令和8年9月14日開催)」
https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi03500044_00016.html

2. 飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱(臨時閣議決定)

  • 法律名:消費税法等の改正(大綱段階のため、法律名・法案名は未確定)
  • 区分:大綱の閣議決定(2026年9月15日・臨時閣議) ※成立・施行ではありません
  • 施行日:大綱上の実施開始は令和9年4月1日から2年間。根拠法が未成立のため、法律としての施行日は未定

概要
軽減税率の対象となっている飲食料品に係る消費税率を1%とする臨時的な引下げを、令和9年4月1日から2年間実施するとされています。あわせて、飲食料品に係る消費税1%相当分の範囲内で、所得に連動したきめ細かな給付である「就業者負担軽減支援金」を令和9年度に先行導入し、実質的なゼロ化を実現するとされています。大綱では、可及的速やかに必要な法制上の措置を講ずることとされています。

実務上のポイント
法案は未提出であり、条文・経過措置・事業者の実務対応(簡易課税、中間申告、総額表示等の特例の有無)は今後の法案で確定します。現時点で確定的な助言を行うことは避け、法案提出・成立の段階で改めて確認する必要があります。事業者からの照会には「大綱決定にとどまる」旨を明示することが適切です。

出典:首相官邸「令和8年9月15日(火)臨時閣議案件」
https://www.kantei.go.jp/jp/kakugi/2026/kakugi-2026091502.html
内閣官房「『飲食料品に係る消費税率の引下げ』及び『給付付き税額控除』(政府の基本方針)について」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shouhizei_zeigakukoujo/index.html

参考(法改正そのものではない事項・原典未確認の事項)

(1) 9月15日の定例閣議における政令の決定(原典未確認)
2026年9月15日の定例閣議で「政令」が決定された旨、内閣官房長官記者会見で確認できました(「一般案件等5件、政令、人事が決定されました」)。ただし、同日の定例閣議案件ページは取得できず(404)、決定された政令の名称・件数は原典未確認です。9月16日付官報(本紙第1791号、号外第206号・第207号)に公布されている可能性がありますが、官報本文はアクセス制限により取得できず、未確認です。

(2) 厚生労働省告示(法律の改正ではありません)
2026年9月15日、厚生労働省告示第341号〜第344号(受入事業主・送出事業主が講ずべき措置に関する指針の一部改正、送出労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針の一部改正、厚生年金保険法等改正法附則第8条に規定する責任準備金相当額の算出方法の一部改正)が公布されています。いずれも告示であり、法律の改正ではありません。

(3) インターネット関連法の動き
総務省・文化庁・デジタル庁・個人情報保護委員会・経済産業省の各公式サイトを確認しましたが、対象期間中、個人情報保護法・著作権法・電気通信事業法・情報流通プラットフォーム対処法等の成立・公布・施行に関する新たな公表は確認されませんでした。なお、内閣法制局「令和8年1月1日から現在までに公布された法律」は令和8年8月5日現在の更新であり、9月分は未反映です。

出典

浅井裕貴弁護士(静岡県弁護士会)

静岡市清水区出身の弁護士。一橋大学・中央大学法科大学院卒業、静岡県弁護士会所属。ネットの誹謗中傷・発信者情報開示請求(意見照会・トレント対応を含む)、相続・遺言、交通事故案件に注力。基本情報技術者の知見を活かし、IT・インターネット分野の法律問題に対応している。