訴状が届いたら、何日以内に何をすればよい?放っておくと負けが決まる仕組みを弁護士が解説します

Q 仕事から帰ると、郵便受けに不在連絡票が入っていました。差出人は地方裁判所です。郵便局の窓口で受け取ってみると、中身は訴状と、口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状という書面でした。まったく身に覚えのない話ではないのですが、請求されている金額に納得がいきません。指定されている期日は1か月ほど先です。私は、いつまでに、何をすればよいのでしょうか。

A 同封されている答弁書催告状に、答弁書の提出期限が書かれています。まずはその日付をご確認ください。答弁書を出さないまま第1回の期日にも出頭しないと、訴状に書かれた事実を争わなかったものとして扱われ、そのまま判決に至ることがあります。ただし、答弁書さえ期限までに出しておけば、第1回の期日については、出頭しなくても不利に扱われない仕組みがあります。

封筒に入っている書面を確かめてください

裁判所から訴訟の書類が送られてくるときは、郵便局の配達員が名宛人に手渡しし、受け取った記録を残す方法がとられます。郵便受けに投げ込まれるのではなく、不在連絡票が入るのはこのためです。

封筒の中には、通常、次の書面が入っています。

  • 訴状……相手方が、あなたに対して何を求めているか(請求の趣旨)と、その理由(請求の原因)を書いた書面です。
  • 口頭弁論期日呼出状……第1回の期日の日時と法廷が書かれています。
  • 答弁書催告状……答弁書をいつまでに提出するよう求めるかが書かれています。
  • 証拠書類の写し……甲第1号証、甲第2号証などと番号が振られています。

なお、届いた書面が訴状ではなく「支払督促」であることもあります。こちらは手続の名前も、とるべき対応も異なります。支払督促が届いた方へに別途まとめていますので、お手元の書面の表題をお確かめください。

放っておくとどうなるか

民事訴訟法159条1項は、当事者が口頭弁論において相手方の主張した事実を争うことを明らかにしない場合には、その事実を自白したものとみなす、と定めています。そして同条3項は、この規定を、当事者が口頭弁論の期日に出頭しない場合について準用しています。

つまり、答弁書も出さず、期日にも出頭しないと、訴状に書かれた事実を、あなたが認めたものとして扱われるということです。

ここで一点、正確に申し上げておきます。認めたものとみなされるのは「事実」であって、その事実から相手方の請求が認められるかどうかの判断は、裁判所が行います。事実を争わなかったからといって、常に相手方の請求がそのまま通るとは限りません。もっとも、事実が争われていない以上、相手方の請求が認められる方向に大きく傾くことは避けられません。

判決が確定すると、それに基づいて給与や預金の差押えなどの手続をとることが可能になります。放置して困るのは、判決が出た後の段階です。

答弁書を出せば、第1回だけは出頭しなくてよい場合があります

民事訴訟法158条は、当事者が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭しなかったときは、裁判所は、その者が提出した答弁書などに記載した事項を陳述したものとみなし、相手方に弁論をさせることができる、と定めています。

この条文について、二点ご注意ください。

  • 「最初にすべき口頭弁論の期日」に限られます。第2回以降の期日を欠席した場合には、この扱いは受けられません。
  • 「できる」と書かれています。裁判所が必ずそうしなければならない、という書き方ではありません。

第1回の期日は、訴えを起こした側の都合と裁判所の予定で決まっており、あなたの都合は聞かれていません。そのため、仕事を休めない、遠方であるといった事情で出頭できないことは珍しくありません。その場合でも、答弁書を期限までに出しておくことが、この仕組みを使うための前提になります。

答弁書には何を書くか

民事訴訟法161条2項は、準備書面には、攻撃又は防御の方法と、相手方の請求及び攻撃又は防御の方法に対する陳述を記載する、と定めています。答弁書は、被告が最初に出す準備書面です。

実際に書くことは、大きく分けて次の二つです。

  • 請求の趣旨に対する答弁……相手方の求めを退けてほしい、という結論の部分です。ここは、原則として「全面的に認める」か「全面的に争う」かの二択になります。譲歩するつもりがあっても、まずは争うと述べるほかない理由は、なぜいつも「被告は全面的に争う」?でご説明しています。
  • 請求の原因に対する認否……訴状に書かれた事実を、一つずつ「認める」「否認する」「知らない」と答えていく部分です。

この「認否」が、答弁書の要です。先ほどの159条1項は、争うことを明らかにしない事実を自白したものとみなすと定めています。裏を返せば、否認すべき事実を書き落とすと、その部分だけが認めたものとして扱われかねないということです。

なお、同条2項は、相手方の主張した事実を知らない旨の陳述をした者は、その事実を争ったものと推定すると定めています。心当たりのない事実について「知らない」と答えることには、意味があります。

期限までにどうしても内容を詰めきれない場合、まずは請求を争う旨と、詳細は追って主張する旨を記載した答弁書を提出し、認否や反論を次回以降に回す方法がとられることもあります。ただし、これで足りるかどうかは事案によります。

もう判決が出てしまった場合

民事訴訟法285条は、控訴は、電子判決書などの送達を受けた日から二週間の不変期間内に提起しなければならない、と定めています。

条文が「不変期間」と呼んでいるとおり、この二週間は、当事者の都合で延ばせる性質のものではありません。判決の書面が届いてから相談先を探していると、期間の大半を使ってしまいます。判決が届いた日のうちにご相談ください。

よくあるご質問

受け取らなければ、なかったことになりますか。

なりません。受け取りを避け続けた場合には、別の方法で送達が行われることがあります。その一つが公示送達で、裁判所の掲示場に掲示するなどの方法により、送達の効力が生じる扱いです。受け取らないことは、対応しないことと同じ結果になりかねません。

身に覚えのある請求ですが、金額に納得がいきません。

その場合こそ答弁書が要ります。請求のうち、どこまでを認め、どこから争うのかを書き分ける作業だからです。何もしなければ、金額を含めて争わなかったものとして扱われます。

弁護士に頼まず、自分で答弁書を出してもよいのですか。

差し支えありません。ご本人が手続をとることは認められています。ただし、認否を誤ると後から取り返すのが難しくなる点は、あらかじめお含みおきください。

詐欺ではないのですか。

確かに、詐欺の場合も無いとはいえません。もし、詐欺か否か御不安であれば、弁護士に御相談ください。弁護士であれば、詐欺か否かの判断ができる可能性が高いです。
詐欺かどうか悩んで、時間を浪費することだけは避けてください。

要点の整理

  1. 答弁書催告状に書かれた提出期限を、まず確認する。
  2. 答弁書を出さず期日にも出頭しないと、訴状の事実を争わなかったものとして扱われる(民事訴訟法159条1項・3項)。
  3. 答弁書を出しておけば、第1回の期日に限り、記載事項を陳述したものとして扱われる余地がある(同158条)。
  4. 答弁書の要は、事実を一つずつ答えていく認否である(同161条2項)。
  5. 判決が届いてしまった場合、控訴できるのは送達を受けた日から二週間(同285条)。

※本記事の条文は、2026年9月16日時点のものです。

期限が迫っている方へ

訴状が届いてからのご相談は、期限との競争になります。答弁書の提出期限まで日数が残っていれば、認否を組み立て、手持ちの資料から何が言えるかを検討する余裕があります。期限を過ぎてからでは、できることが限られます。

お手元の書面に書かれた期限が二週間を切っている場合は、その旨をお伝えください。ご相談の日程を優先して調整いたします。ご相談の際は、封筒の中身を一式、そのままお持ちください。訴状だけでなく、期日呼出状と証拠書類の写しが判断の材料になります。

お引き受けした場合に、その後どのように進んでいくかはご依頼から案件終了までの流れ(民事)に、費用の定めは弁護士費用に掲載しています。

※本記事は一般的な法律解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。具体的な事案は弁護士にご相談ください。

裁判所から訴状が届いた方へ:答弁書の期限までに

何を認め、どこから争うのか。認否の書き分けを誤ると、後から取り返すのが難しくなります。封筒の中身を一式お持ちいただければ、答弁書に何を書くべきかをご説明します。期限が短い手続ですので、届いたらできるだけ早くご相談ください。

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浅井裕貴弁護士(静岡県弁護士会)

静岡市清水区出身の弁護士。一橋大学・中央大学法科大学院卒業、静岡県弁護士会所属。ネットの誹謗中傷・発信者情報開示請求(意見照会・トレント対応を含む)、相続・遺言、交通事故案件に注力。基本情報技術者の知見を活かし、IT・インターネット分野の法律問題に対応している。