【法改正速報】刑事手続IT化に向けた刑事訴訟規則改正と識別符号規則(電子情報処理組織による申立て等)を公布/医療的ケア児等支援法の政令ほか(2026年10月23日)
対象期間:2026年10月16日〜10月23日。報告件数5件(最高裁判所規則2件、政令1件、省令1件、内閣官房令1件)。令和8年10月23日の官報で、情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律(令和7年法律第39号)の施行に向けて、刑事訴訟規則の一部を改正する規則(最高裁判所規則第13号)と、刑事事件等に関する手続において用いる識別符号の付与等に関する規則(同第14号)が公布されました。いずれも同法の施行の日から施行されます。同日、医療的ケア児等及び重症心身障害者並びにそれらの家族に対する支援に関する法律第十四条第一項の政令で定める市を定める政令(令和8年政令第332号)なども公布されています。第222回国会(臨時会)の参議院「議案情報」(令和8年10月22日現在)には、議決・成立した法律の記載はありません。
1. 刑事訴訟規則の一部を改正する規則(令和8年最高裁判所規則第13号)【最高裁判所規則・公布】
- 公布:令和8年10月23日(官報号外第233号1頁〜89頁)。
- 施行日:「情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律(令和七年法律第三十九号。以下「法」という。)の施行の日」(附則第1条)。法の本体の施行日は、法附則第1条柱書で「令和九年三月三十一日までの間において政令で定める日」とされています。この施行期日を定める政令は、本記事の作成時点で確認できていません。
- 改正の概要:「第六章の二 電子情報処理組織による申立て等(第六十五条の二―第六十五条の八)」を新設します。この規則で書面をもってするものとされている申立て等は、電子情報処理組織を使用してファイルに記録する方法、又は記録媒体を提出する方法によりすることができ(第65条の2第1項)、ファイルに記録する方法による申立て等は「当該申立て等に係る事項がファイルに記録された時に裁判所若しくは裁判長又は裁判官に到達したものとみなす」とされます(同条第3項)。申立て等をする者(検察官、検察事務官、司法警察職員その他最高裁判所が定める者を除く。)は、あらかじめ、識別符号及び暗証符号を入力しなければなりません(第65条の3第2項)。
- 検察官・弁護人:改正後の刑事訴訟法第54条の3第1項は、検察官及び弁護士である弁護人に、申立て等を(口頭でする場合を除き)電子情報処理組織を使用する方法又は記録媒体を提出する方法によることを求めています(令状の請求等を除く。同項ただし書。電子計算機の故障その他のその責めに帰することができない事由により同項の方法で申立て等をすることができない場合は適用しない。同条第2項)。これを受けて、新規則第65条の6第1項は、検察官及び弁護士である弁護人が書面により申立て等をするとき(法第54条の3第1項ただし書の申立て等をする場合を除く。)は、「同条第二項に規定する事由がある旨及びその具体的内容を記載した書面を添付しなければならない」と定めます。
- ファイルへの記録:裁判所書記官は、刑事訴訟法第54条の4に規定する申立て等に係る書面・記録媒体及び同法第310条の2に規定する証拠書類又は証拠物のほか、刑事訴訟に関する手続において法又はこの規則に基づき裁判所に提出された書面又は記録媒体の事項をファイルに記録しなければなりません。ただし、「当該事項をファイルに記録することにつき困難な事情があるときは、この限りでない」とされています(第65条の7)。このほか、公務員が作るべき電磁的記録について、作成者を示すとともに改変を防止する措置をとること(第58条第1項第2号)、検察官に対する送達を電気通信回線を通じて送信する方法でもできること(第64条)などが定められます。
- 経過措置:施行前刑事事件(法附則第3条第1項)又は特定刑事事件(法附則第4条)に係る申立て等には、新規則第65条の2及び第65条の6第1項は適用されません(附則第2条本文)。ただし、施行前刑事事件又は特定日前刑事事件とこれらの事件以外の刑事事件を併せて審判する場合における施行日以後の申立て等については、この限りでありません(同条ただし書)。同日、法附則第3条第1項本文に規定する最高裁判所の定める刑事事件を定める告示(令和8年最高裁判所告示第9号)も告示されました。同告示は、特定刑事事件を「次に掲げる事件以外のもの」とし、法の施行の日から令和9年5月9日まで、同年5月10日から6月13日まで、同年6月14日から7月11日までなどの期間ごとに、除かれる事件を定めています。
- 実務上のポイント:施行日以後、弁護士である弁護人による申立て等は、口頭でする場合や令状の請求等を除き、原則として電子情報処理組織を使用する方法又は記録媒体を提出する方法によることになります。書面で行う場合には、故障等の事由とその具体的内容を記載した書面の添付が必要です。対象事件は告示により段階的に定められているため、担当事件が施行前刑事事件・特定刑事事件に当たるかの確認が必要です。
- 出典:官報 令和8年10月23日号外第233号1頁 https://www.kanpo.go.jp/20261023/20261023g00233/20261023g002330001f.html /同23頁〜25頁(第六章の二) https://www.kanpo.go.jp/20261023/20261023g00233/20261023g002330023f.html /同89頁(附則) https://www.kanpo.go.jp/20261023/20261023g00233/20261023g002330089f.html /同94頁(最高裁判所告示第9号) https://www.kanpo.go.jp/20261023/20261023g00233/20261023g002330094f.html /e-Gov法令検索 刑事訴訟法 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131
2. 刑事事件等に関する手続において用いる識別符号の付与等に関する規則(令和8年最高裁判所規則第14号)【最高裁判所規則・公布(新規制定)】
- 公布:令和8年10月23日(官報号外第233号90頁)。
- 施行日:「情報通信技術の進展等に対応するための刑事訴訟法等の一部を改正する法律(令和七年法律第三十九号)の施行の日」(附則)。施行期日を定める政令は、本記事の作成時点で確認できていません。
- 概要:刑事事件及び少年事件に関する手続で、刑事訴訟法・刑事訴訟規則その他の法令に定める電子情報処理組織を使用するための識別符号を得るときは、あらかじめ、①氏名及び住所、②電話番号、③電子メールアドレス、④生年月日、⑤その他最高裁判所が定める事項を、電子計算機から入力して送信する方法により最高裁判所に届け出なければなりません(第1条第1項。法人等は名称・代表者等)。届出を行う者は、最高裁判所が定める方法により本人確認のための措置を講じなければならず(同条第2項)、最高裁判所は届出を受理したとき識別符号を付与します(同条第3項)。
- 弁護士:弁護士がその業務として届出をする場合には「弁護士であることを証明しなければならない」とされ、最高裁判所は「弁護士の業務として」使用するための識別符号を付与します(第2条)。識別符号を付与された者は暗証符号を設定して届け出、届出事項の変更等も届け出なければなりません(第3条)。
- 使用の停止:最高裁判所は、偽りその他不正な手段による付与、他人による不正取得、裁判所の使用に係る電子計算機に対して不正アクセス行為の禁止等に関する法律第2条第4項に規定する不正アクセス行為をしたとき、第1条第3項により付与された者が付与の日から90日間使用しなかったときその他使用の必要がなくなったと認めるとき、法令の規定により弁護士の業務を行うことができなくなったとき、電子情報処理組織の使用を継続することが適当でないと認める特別の事情があるときなどに、識別符号の使用を停止することができます(第4条第1号〜第6号)。
- 関連:同日、民事事件等に関する手続において用いる識別符号の付与における本人確認方法に関する要綱を定める件の一部を改正する件(令和8年最高裁判所告示第8号)も告示されています。
- 実務上のポイント:刑事事件の手続で電子情報処理組織を使用する弁護士は、あらかじめ、弁護士であることを証明して識別符号の届出をする必要があります(第2条第1項)。法令の規定により弁護士の業務を行うことができなくなったときは、使用停止の事由となります(第4条第5号)。
- 出典:官報 令和8年10月23日号外第233号90頁 https://www.kanpo.go.jp/20261023/20261023g00233/20261023g002330090f.html /同94頁(最高裁判所告示第8号) https://www.kanpo.go.jp/20261023/20261023g00233/20261023g002330094f.html
3. 医療的ケア児等及び重症心身障害者並びにそれらの家族に対する支援に関する法律第十四条第一項の政令で定める市を定める政令(令和8年政令第332号)【政令・公布】
- 公布:令和8年10月23日(官報本紙第1814号2頁)。
- 施行日:「令和九年四月一日」(附則)。
- 内容:同法第14条第1項の政令で定める市を、「地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の二十二第一項の中核市とする」と定めます。
- 背景:医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第77号。令和8年7月31日公布、令和9年4月1日施行)による改正後の第14条第1項は、都道府県、指定都市、中核市その他の政令で定める市又は特別区(都道府県等)の長が、医療的ケア児等及び重症心身障害者並びにそれらの家族その他の関係者への相談・情報提供、個別避難計画の作成への協力などの業務を、指定した医療的ケア児等支援センターに行わせ又は自ら行うことができると定めています(e-Gov法令検索の改正後条文による)。
- 実務上のポイント:令和9年4月1日から、中核市の長も医療的ケア児等支援センターの指定等の主体となります。
- 出典:官報 令和8年10月23日本紙第1814号2頁 https://www.kanpo.go.jp/20261023/20261023h01814/20261023h018140002f.html /e-Gov法令検索 医療的ケア児等及び重症心身障害者並びにそれらの家族に対する支援に関する法律(令和9年4月1日施行の改正後条文) https://laws.e-gov.go.jp/law/503AC0000000081
4. 物資の流通の効率化に関する法律第四条第十八号ロの法人を定める省令の一部を改正する省令(令和8年農林水産省令第73号)【省令・公布】
- 公布:令和8年10月23日(官報本紙第1814号2頁)。
- 施行日:「物資の流通の効率化に関する法律の一部を改正する法律の施行の日(令和八年十一月一日)」(附則)。
- 内容:物資の流通の効率化に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第21号)の施行に伴い、題名及び本則中「第四条第十八号ロ」を「第四条第六号ロ」に改めます。改正法の施行後は、食品等生産業者等の定義が同法第4条第6号に置かれ、その「ロ」で農林水産省令に委ねられた法人(農業協同組合、漁業協同組合等)を定めるのがこの省令です(e-Gov法令検索の改正後条文による)。
- 実務上のポイント:条項番号の移動に合わせた形式的な改正です。
- 出典:官報 令和8年10月23日本紙第1814号2頁 https://www.kanpo.go.jp/20261023/20261023h01814/20261023h018140002f.html /e-Gov法令検索 物資の流通の効率化に関する法律 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000085
5. 国家公務員退職手当法の規定による早期退職希望者の募集及び認定の制度に係る書面の様式等を定める内閣官房令及び国家公務員退職手当法附則第十二項、第十四項及び第十六項の規定による退職手当の基本額の特例等に関する内閣官房令の一部を改正する内閣官房令(令和8年内閣官房令第10号)【内閣官房令・公布】
- 公布:令和8年10月22日(官報号外第232号1頁)。
- 施行日:「防災庁設置法の施行の日(令和八年十一月二日)」(附則)。
- 内容:防災庁設置法(令和8年法律第61号)の施行に伴う改正です。早期退職希望者の募集・認定に関する送付及び報告を行う機関(第4条)に「防災庁」を第18号として加え、退職手当の基本額の特例等の対象を定める別表第一から「防災監」を削るなどの改正を行います。
- 実務上のポイント:防災庁の発足(11月2日)に伴う技術的な改正です。
- 出典:官報 令和8年10月22日号外第232号1頁 https://www.kanpo.go.jp/20261022/20261022g00232/20261022g002320001f.html /同2頁(附則) https://www.kanpo.go.jp/20261022/20261022g00232/20261022g002320002f.html
出典
- 官報 令和8年10月23日号外第233号1頁(最高裁判所規則第13号) https://www.kanpo.go.jp/20261023/20261023g00233/20261023g002330001f.html
- 官報 令和8年10月23日号外第233号23頁(同規則 第六章の二) https://www.kanpo.go.jp/20261023/20261023g00233/20261023g002330023f.html
- 官報 令和8年10月23日号外第233号89頁(同規則 附則) https://www.kanpo.go.jp/20261023/20261023g00233/20261023g002330089f.html
- 官報 令和8年10月23日号外第233号90頁(最高裁判所規則第14号) https://www.kanpo.go.jp/20261023/20261023g00233/20261023g002330090f.html
- 官報 令和8年10月23日号外第233号94頁(最高裁判所告示第8号・第9号) https://www.kanpo.go.jp/20261023/20261023g00233/20261023g002330094f.html
- 官報 令和8年10月23日本紙第1814号2頁(政令第332号・農林水産省令第73号) https://www.kanpo.go.jp/20261023/20261023h01814/20261023h018140002f.html
- 官報 令和8年10月22日号外第232号1頁(内閣官房令第10号) https://www.kanpo.go.jp/20261022/20261022g00232/20261022g002320001f.html
- e-Gov法令検索 刑事訴訟法 https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000131
- e-Gov法令検索 医療的ケア児等及び重症心身障害者並びにそれらの家族に対する支援に関する法律(令和9年4月1日施行の改正後条文) https://laws.e-gov.go.jp/law/503AC0000000081
- e-Gov法令検索 物資の流通の効率化に関する法律 https://laws.e-gov.go.jp/law/417AC0000000085
- 参議院「議案情報」第222回国会 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/222/gian.htm

