【判例速報】大阪高裁・入管の後ろ手錠と国家賠償/知財高裁・特許「電池」審決取消(2026年8月7日)

裁判所ウェブサイトの新着裁判例のうち、当サイトの過去の速報で未報告の2件を取り上げます(うちインターネット関連 0件)。

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1. 大阪高裁 令和8年6月25日判決 ― 入管収容中の後ろ手錠の継続使用と国家賠償

  • 裁判所:大阪高等裁判所 第7民事部
  • 裁判年月日:令和8年6月25日
  • 事件番号:令和7(ネ)1202(国家賠償請求(独立当事者参加)控訴事件)
  • 原審:大阪地方裁判所 令和5(ワ)6581
  • 参照法条:国家賠償法1条1項

事案の概要

入管施設に収容されていた外国人Aが、入国警備官により後ろ手錠で長時間拘束され、左上腕骨骨折等の傷害を負ったとして国家賠償を求めた事案です(控訴人はAから債権譲渡を受けた者)。

判断の要旨

  • 昼間の後ろ手錠(手錠1)については、Aが著しく興奮し警備官に飛びかかろうとした状況下で必要最小限度の範囲内であるとして、使用・継続とも適法と判断。
  • 夜間の後ろ手錠(手錠2)については、使用自体は適法としつつ、午後10時54分以降の継続は違法と認定。就寝時間帯を含む約13時間の継続使用は必要最小限度を超えるとしました。
  • 午前2時48分の警備官による腕の保持と骨折との因果関係を肯定。
  • 主文は「88万円及びこれに対する平成29年12月21日から支払済みまで年5%の割合による金員」の支払(内訳:慰謝料80万円+弁護士費用相当額8万円)。原審の認容額11万円から増額されています。

実務上のポイント

戒具(手錠)使用の適法性を「使用開始時」と「その後の継続」に切り分け、時刻単位で必要最小限度性を審査した点が特徴的です。収容・身体拘束をめぐる国家賠償請求事件における主張立証の組み立てに参考となります。インターネット関連業務への直接の影響はありません。

出典裁判例詳細ページ判決文PDF


2. 知的財産高等裁判所 令和8年7月29日判決 ― 特許「電池」の無効審判・審決取消請求

  • 裁判所:知的財産高等裁判所 第4部
  • 裁判年月日:令和8年7月29日
  • 事件番号:令和7(行ケ)10077(審決取消請求事件)
  • 結果:請求棄却
  • 当事者:原告 エリーパワー株式会社/被告 株式会社GSユアサ
  • 対象特許:特許第5713127号「電池」(存続期間満了:令和4年5月27日)

事案の概要

特許無効審判の不成立審決(令和7年6月25日付。訂正請求項5について訂正を認容)の取消しを求めた事案です。取消事由は、甲1発明に基づく新規性欠如・進歩性欠如、甲2発明・甲3発明に基づく進歩性欠如、サポート要件違反です。

判断の要旨

  • 訴えの利益:特許権消滅後も、対象外製品への権利行使の可能性が残存するとして肯定。
  • 新規性・進歩性:甲1発明のナットは、「外部接続端子と集電接続板の間に配置」される本件発明の端子接続部材に当たらないと判断。また、鉛蓄電池の端子構造という周知技術をリチウムイオン電池に適用する動機付けを欠くとしました。
  • 記載要件:本件発明の構成から、従来の課題(波板状構造・溶着不良・作業性低下)の解決可能性を認識できるとして、サポート要件違反を否定。
  • 以上より、請求を棄却。

実務上のポイント

存続期間満了後の審決取消訴訟であっても、対象外製品への権利行使可能性を理由に訴えの利益が認められた点が実務上参考になります。また、異分野(鉛蓄電池→リチウムイオン電池)の周知技術の適用について、動機付けを慎重に判断しています。

※裁判所ウェブサイトの詳細ページは判示事項の要旨・裁判要旨とも空欄のため、上記は判決文PDF(原典)に基づく整理です。

出典裁判例詳細ページ判決文PDF


出典

浅井裕貴弁護士(静岡県弁護士会)

静岡市清水区出身の弁護士。一橋大学・中央大学法科大学院卒業、静岡県弁護士会所属。ネットの誹謗中傷・発信者情報開示請求(意見照会・トレント対応を含む)、相続・遺言、交通事故案件に注力。基本情報技術者の知見を活かし、IT・インターネット分野の法律問題に対応している。