【法改正速報】改正個人情報保護法(令和8年法律第56号)の政令・規則整備に向けた基本的な考え方①を審議―16歳未満の子どもの個人情報・顔特徴データ(2026年9月16日)

対象期間:2026年9月16日〜9月17日。報告件数1件(改正法の下位法令=政令・規則の整備に関する動きであり、法律の「成立」「施行」そのものではありません)、ほか参考2件。

対象期間中、法律の新たな成立・公布・施行は確認されませんでした。内閣法制局「令和8年1月1日から現在までに公布された法律」によれば、令和8年に公布された最新の法律は令和8年7月31日公布の法律第78号であり、その後の新規公布はありません。

1.改正個人情報保護法の政令・規則の整備に向けた「基本的な考え方(案)①」を審議

  • 法律名:個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律(令和8年法律第56号/改正個人情報保護法)
  • 区分:成立・公布・施行のいずれにも該当しない(改正法の下位法令=政令・規則の整備に向けた委員会審議)。改正法自体は令和8年7月10日成立、同年7月17日公布。
  • 年月日:令和8年9月16日(第369回個人情報保護委員会)

個人情報保護委員会は、改正法が政令・規則に委任した事項について「基本的な考え方(案)」①を議題とし、(1) 適正なデータ利活用の推進、(2) リスクに適切に対応した規律、の2本柱を審議しました。

(1) 適正なデータ利活用の推進

  • 第三者提供について、従来の「本人との間の契約の履行のために必要やむを得ないことが明らかである場合」に加え、「取得の状況からみて本人の意思に反しないため本人の権利利益を害しないことが明らかな取扱い」を本人同意不要とする規則委任事項の考え方が示されました。
  • 統計作成等の特例(統計作成・AI開発等の目的での個人データの利用)についても、個人の権利利益を害するおそれが少ないものを規定する旨が言及されています。

(2) 子ども(16歳未満)の個人情報の取扱い

  • 同意取得・通知等の名宛人を「法定代理人」と読み替える規律、違法行為の有無を問わない利用停止等請求、子ども本人の「最善の利益」を優先して考慮する責務規定について、例外事由の範囲等が論点として整理されました。
  • 参考資料1として「個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)読替表(16歳未満の者の個人情報等の取扱いの規定関係)」が配布されています。

(3) 顔特徴データ等(特定生体個人情報)の規律

  • 「特別の技術又は多額の費用を要しない方法により取得することができ、本人が容易に認識できない身体的特徴」に係る情報を対象とし、事業者名・住所・代表者氏名、顔特徴データ等を取り扱う旨、利用目的、身体的特徴の内容、利用停止請求手続の周知を求める方向。カメラ・センサーの周辺への「分かりやすく掲示」することを義務付ける方向が示されています。
  • 違法行為の有無を問わない利用停止等請求を認める一方、本人同意・法令に基づく場合など例外事由を規定。
  • 顔特徴データ等の第三者提供について、オプトアウト方式を認めない方向。
  • 政令で定める「特定生体個人識別符号」の対象(現時点では顔特徴データが想定)、周知方法の具体化が論点とされています。
  • 衆参両院の附帯決議を踏まえ、事業者の恣意的判断・濫用の防止、「必要最小限の利用又は提供」への限定、児童の権利に関する条約への準拠が指摘されています。

あわせて審議された安全管理措置ガイドラインの見直し

同日、資料2「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)等における安全管理措置の手法の例示の追加等の検討について」が審議されました。クラウド・デバイスの多様化への対応、生体認証・多要素認証の手法例の追加、ゼロトラストアーキテクチャに基づく動的なアクセス制御、侵入後の横展開対策(特権アカウント利用の最小化、侵害システムの停止・隔離、アカウント無効化)等が検討されており、令和8年9月に方向性を公表し令和9年4月の施行を目指すとされています。

施行日

改正個人情報保護法(令和8年法律第56号)本体の施行期日は、本稿では原典未確認です。なお、上記の安全管理措置に係るガイドライン改正については、資料2において令和9年(2027年)4月の施行を目指す旨が示されています。

実務上のポイント(インターネット関連業務への影響)

  • 16歳未満の子どもの個人情報について、法定代理人同意の要否・例外事由の範囲が政令・規則で具体化されます。SNS・ゲーム・EC等における年齢確認と同意取得フローの設計に直結します。
  • 顔特徴データ等については、カメラ設置場所での掲示義務、オプトアウト提供の禁止、違法性を問わない利用停止請求が導入される方向であり、入退館管理・店舗内カメラ・万引き防止目的の顔認証システム等を扱う事業者への助言に影響します。
  • 「取得の状況からみて本人の意思に反しない」第三者提供の同意不要化および統計作成等の特例は、AI開発・データ連携に関する法務デューデリジェンスの前提を変えうる論点です。
  • いずれも現時点では「案」の段階であり、今後の政令・規則案のパブリックコメントを注視する必要があります。

出典
第369回個人情報保護委員会(令和8年9月16日)議事次第・配布資料
資料1 政令・規則の整備に向けた基本的な考え方(案)について①(PDF)
参考資料1 読替表(16歳未満の者の個人情報等の取扱いの規定関係)(PDF)
資料2 ガイドライン(通則編)等における安全管理措置の手法の例示の追加等の検討について(PDF)

参考(法律改正そのものではない事項)

参考1.e-Gov法令検索の更新(令和8年9月17日)

令和8年9月17日付でe-Gov法令検索に反映された法令は5件で、いずれも厚生労働省所管の省令(栄養士法施行規則、医師法施行規則、歯科医師法施行規則、保健師助産師看護師法施行規則、薬剤師法施行規則)です。法律の改正ではありません。
なお、同ページで令和8年9月16日を指定しても9月17日の一覧が表示されるため、9月16日付の更新の有無は原典未確認です。
出典:e-Gov法令検索 更新法令一覧

参考2.法律の新規成立・公布は確認されず

内閣法制局「令和8年1月1日から現在までに公布された法律」において、最新の公布は令和8年7月31日公布の法律第73号〜第78号(日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律ほか)であり、その後の新規公布はありません。秋の臨時国会の召集日については、公的機関サイト上で確認できなかったため原典未確認とします。
出典:内閣法制局 令和8年1月1日から現在までに公布された法律

出典

浅井裕貴弁護士(静岡県弁護士会)

静岡市清水区出身の弁護士。一橋大学・中央大学法科大学院卒業、静岡県弁護士会所属。ネットの誹謗中傷・発信者情報開示請求(意見照会・トレント対応を含む)、相続・遺言、交通事故案件に注力。基本情報技術者の知見を活かし、IT・インターネット分野の法律問題に対応している。