【法改正速報】特定商取引法・消費者契約法の改正に向けた中間取りまとめに意見募集―チャット勧誘・ダークパターン・オンライン解約妨害が論点(2026年9月16日)
対象期間:2026年9月17日〜9月19日
報告件数:2件(いずれも「法改正に向けた動き」であり、法律の成立・公布・施行ではありません)、ほか参考5件
対象期間中、法律の新たな成立・公布・施行は確認されませんでした。
1 特定商取引法:デジタル取引・特定商取引法等検討会が中間取りまとめ(意見募集中)
法律名 特定商取引に関する法律(特定商取引法) ※改正に向けた検討段階
区分 法改正に向けた動き(中間取りまとめの公表=令和8年9月10日/意見募集=令和8年9月16日〜10月31日)。成立・公布・施行のいずれでもありません。
改正の概要(中間取りまとめの主な提言)
- チャット等による勧誘販売への規制:SNS・メッセージ機能を通じた個別の消費者への勧誘に、電話勧誘販売と同等の規律を適用
- ダークパターン(誘導的UI)への対応:消費者の意に反して申込みをさせようとする表示・UIを規制対象化
- 最終確認画面の強化:支払総額の表示、取引条件の分離表示の禁止を義務付け
- 契約内容の電子書面交付:注文完了後遅滞なく、電子メール等で契約内容を記載した書面を交付
- 解約手続妨害の禁止:過度に複雑な解約手続を違法行為として規制
- 訪問販売における強引な契約:合意前の工事着手など原状回復を困難にする行為を違法化
- 後出しマルチへの対応:後発的に特定利益を告げる取引を連鎖販売取引の規制対象として明確化
- 法執行の強化:AIの活用、関係機関連携、適格消費者団体への権限付与
施行日 法律案は未提出であり、施行日未定。
実務上のポイント
インターネット関連業務への影響が大きい項目が並びます。とりわけ、SNSのDM・チャットによる勧誘を電話勧誘販売と同等に規律する方向は、インフルエンサー経由の勧誘やチャットボット営業を行う事業者の実務(書面交付・クーリング・オフ)に直結します。ダークパターン規制と最終確認画面の規律強化は、EC・サブスクリプションのUI設計そのものを法的リスクとして評価する必要を生じさせます。解約手続妨害の禁止は、いわゆる「退会させないUI」に対する行政処分・差止めのリスクを高めます。事業者側の顧問業務では、意見募集期間(10月31日まで)中の意見提出と、UI・約款の棚卸しの助言が考えられます。
出典
消費者庁|「デジタル取引・特定商取引法等検討会中間取りまとめ」に関する意見募集について
消費者庁|デジタル取引・特定商取引法等検討会
中間取りまとめ(令和8年9月10日)PDF
2 消費者契約法:消費者契約法検討会が中間取りまとめ(意見募集中)
法律名 消費者契約法 ※改正に向けた検討段階(会議体名は「現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会」)
区分 法改正に向けた動き(中間取りまとめの公表=令和8年9月10日/意見募集=令和8年9月16日〜10月31日)。成立・公布・施行のいずれでもありません。
改正の概要(中間取りまとめの主な論点)
- 消費者の多様な脆弱性への対応:事業者の配慮規定の導入、内閣総理大臣による指針策定と官民協議会、深刻な結果をもたらす契約からの解放(解除権)の検討
- 契約各過程の規律:解約妨害の禁止、合理的な離脱方法の提供(努力義務)、解約に関する情報提供、自動更新時の通知、契約条件変更時の個別通知、消費者死亡時の相続人対応
- 解約料の実効的規制:「平均的な損害の額」の立証困難への対応として、立証責任の転換案(A案・B案)および折衷案を提示。規律の見直しより説明責任の拡充を優先する方向も併記
- 横断的事項:法目的の見直し、デジタル環境等を踏まえた「消費者」概念の検討
施行日 法律案は未提出であり、施行日未定。
実務上のポイント
解約妨害の禁止・自動更新時の通知・合理的な離脱方法の提供は、サブスクリプション型サービスの約款とUIに直接影響します。解約料規制における立証責任の転換は、解約違約金条項を置く事業者にとって、平均的な損害の額の根拠資料を平時から整備しておく必要を高めます。上記1(特定商取引法)と規律対象が重複するため、両検討会の成果物を併せて確認する必要があります。
出典
消費者庁|「消費者契約法検討会 中間取りまとめ」に関する御意見募集について
消費者庁|現代社会における消費者取引の在り方を踏まえた消費者契約法検討会
中間取りまとめ(令和8年9月10日)PDF
参考:対象期間中に確認した事項
- 国会:衆議院「議案」の最新掲載は第221回国会(令和8年2月18日〜7月25日)であり、新たな国会回次の議案情報は確認されませんでした。したがって対象期間中の法律の成立はありません。
- 内閣法制局「最近成立した法律」の掲載は令和8年8月5日現在(第221回国会まで)で、その後の更新は確認されませんでした。
- 令和8年9月18日の定例閣議:掲載されている案件は人事案件および配布案件(消費者物価指数)であり、政令の決定は確認されませんでした。
- 官報:インターネット版官報で令和8年9月17日号(本紙第1792号・号外第208号ほか)および9月18日号(本紙第1793号・号外第209号、第210号ほか)の発行は確認できましたが、robots.txtの制限により各号の目次本文を取得できず、法律・政令の公布の有無は【原典未確認】です。
- 総務省「新規制定・改正法令・告示(政令)」の最新掲載は令和8年9月16日公布分(住民基本台帳法施行令の一部を改正する政令=令和8年政令第281号 ほか)で、9月17日以降に公布された政令は確認されませんでした。
- 個人情報保護委員会・法務省・文化庁・経済産業省・デジタル庁の新着情報には、対象期間中の法律の成立・施行に関する告知は確認されませんでした(個人情報保護委員会の直近の更新は9月16日の第369回委員会で、既報のとおりです)。

