【法改正速報】経済安全保障推進法・国際協力銀行法改正法(令和8年法律第38号)が施行/サイバー対処能力強化法の報告命令の一部改正命令が施行(2026年9月18日)【訂正あり】

対象期間:2026年9月19日〜9月21日。報告件数:2件(いずれも2026年9月18日施行。ただし、1.の報告命令自体は2026年10月1日施行で、9月18日に施行されたのは同命令の一部改正命令〔令和8年内閣府等共同命令第7号〕です)。
2026年9月19日(土)〜21日(月・敬老の日)は行政機関の休日にあたり官報は発行されておらず、国会も閉会中のため、対象期間中に新たに成立・公布・施行された法律はありません。もっとも、直前の9月18日に実務上重要な施行が2件あり、前回記事(9月19日公開・対象期間9月17日〜19日)で報告していなかったため、補遺として報告します。

1.サイバー対処能力強化法に基づく特定侵害事象等の報告命令の一部改正命令が施行(報告命令自体は10月1日施行)

  • 命令名:重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律に基づく特別社会基盤事業者による特定侵害事象等の報告等に関する命令(令和八年内閣府・総務省・法務省・財務省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省令第四号)
  • 根拠法:重要電子計算機に対する不正な行為による被害の防止に関する法律(令和7年法律第42号。いわゆるサイバー対処能力強化法。令和7年5月16日成立、同年5月23日公布)
  • 区分・年月日:施行(命令)/2026年10月1日(附則第1項。【訂正】当初「2026年9月18日」と記載しましたが誤りです。9月18日に施行されたのは、同命令の一部を改正する命令(令和8年内閣府等共同命令第7号。経済安全保障推進法改正に伴う改正)です。)
  • 概要:特別社会基盤事業者が「特定侵害事象等」を報告する際の手続等を定める命令は2026年10月1日に施行されました(9月18日に施行されたのは同命令の一部改正命令〔令和8年内閣府等共同命令第7号〕です)。命令案に対する意見募集の結果は2026年5月28日付で公表されていました。
  • 実務上のポイント:電気通信事業者をはじめとする基幹インフラ事業者に対するサイバーインシデント報告義務の具体的手続は、報告命令の施行(2026年10月1日)により動き出しました。該当事業者では、報告体制および社内規程の整備状況の確認が必要です。

【未確認】根拠法(令和7年法律第42号)本体の対応規定の施行期日そのものについては、今回の調査では公的機関サイトで原典を確認できませんでした。報告命令は同命令附則第1項により法の施行の日(2026年10月1日)から施行され、9月18日に施行されたのは同命令の一部改正命令(令和8年内閣府等共同命令第7号)です。

2.経済安全保障推進法・国際協力銀行法改正法(令和8年法律第38号)が施行

  • 法律名:経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律及び株式会社国際協力銀行法の一部を改正する法律(令和8年法律第38号)
  • 区分・年月日:施行/2026年9月18日(成立:2026年6月10日、公布:2026年6月17日)
  • 概要:内閣府は改正内容として、経済安保海外事業促進制度(OESA)の創設、既存5制度の見直し、官民協議会の組織および調査研究(総合的な経済安全保障シンクタンク機能の構築)の実施を挙げています。内閣法制局の法律案概要では、海外の輸送網強靱化事業への融資支援制度の創設、重要物資供給に関する規定整備、医療分野を特定社会基盤事業に追加すること等が主な内容とされています(第221回国会閣法第30号、衆議院で修正のうえ可決)。
  • 施行日:2026年9月18日。施行期日を定める政令は2026年9月11日の定例閣議で決定されています(政令番号は未確認)。
  • 実務上のポイント:特定社会基盤役務(基幹インフラ)制度に医療分野(病院が行う医業等)を追加する第50条第1項の改正は、改正法附則第1条第4号により公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日から施行されるもので、9月18日の施行には含まれていません。同法の特定社会基盤事業には電気通信事業が含まれており、設備の導入・委託に係る事前届出審査制度の運用はインターネット関連事業者にも影響します。

あわせて、同日付で独立行政法人経済産業研究所法(平成11年法律第200号)も施行日を迎えています。シンクタンク機能に関係するものと考えられますが、改正の根拠法令は未確認です。

参考(対象期間中の確認結果)

  • e-Gov法令検索「更新法令一覧」によれば、2026年9月18日を施行日とする法令は計28件で、上記のほか経済安全保障関連の内閣府令・省令が多数含まれます。
  • 2026年9月18日の定例閣議の案件は副大臣・大臣政務官の人事案件および配布案件(消費者物価指数)のみで、法律案・政令の決定はありません。
  • 総務省の報道資料(9月17日〜20日)に法律の成立・公布・施行に該当する事項はありません。
  • デジタル庁の新着情報(9月18日)にも法律の施行に関する事項はありません。
  • 衆議院「議案」の最新回次は第221回国会であり、対象期間中に新たに成立した法律はありません。

出典

【訂正(2026年10月7日)】本記事の次の記載を訂正しました。①報告命令を「2026年9月18日施行」とした記載(タイトル・冒頭・見出し・区分・概要・実務上のポイント・【未確認】欄)を、同命令は附則第1項により10月1日施行で、9月18日施行は一部改正命令(令和8年内閣府等共同命令第7号)である旨に改めました(根拠:同命令原始附則第1項、e-Gov改正履歴)。②基幹インフラ制度に医療分野が追加されるとの記載を、その改正は改正法附則第1条第4号により今後政令で定める日に施行され、9月18日の施行に含まれない旨に改めました(根拠:令和8年法律第38号附則第1条第4号、現行第50条第1項)。

浅井裕貴弁護士(静岡県弁護士会)

静岡市清水区出身の弁護士。一橋大学・中央大学法科大学院卒業、静岡県弁護士会所属。ネットの誹謗中傷・発信者情報開示請求(意見照会・トレント対応を含む)、相続・遺言、交通事故案件に注力。基本情報技術者の知見を活かし、IT・インターネット分野の法律問題に対応している。