【判例速報】広島高裁岡山支部・消防職員の酒気帯び運転と懲戒免職処分(2026年9月18日)

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1 広島高等裁判所岡山支部 令和8年8月6日判決

事件番号:令和8(行コ)3
事件名:懲戒処分取消等請求控訴事件
原審:岡山地方裁判所 令和6(行ウ)8

事案の概要

市消防署の消防副士長であった者が、酒気帯び運転(呼気1リットルにつき0.17ミリグラムのアルコール濃度)を理由に地方公務員法29条1項1号に基づく懲戒免職処分を受け、その取消しと慰謝料300万円の支払を求めた事案の控訴審です。原審は酒気帯び運転の故意を否定して処分を違法とし、慰謝料150万円を認容していました。

判断の要旨

  • 飲酒量が多量で、飲酒終了から約7時間しか経過していない状況からすると、身体にアルコールを保有しているかもしれないとの認識があったとして、酒気帯び運転の故意を肯定した。
  • 市民の生命・安全を守る消防職にありながら酒気帯び運転に及んだこと等に照らし、懲戒免職処分は社会観念上著しく妥当を欠くとはいえず、裁量権の範囲内であるとした。
  • 弁明の機会の付与および理由の提示についても、手続上の違法はないとした。
  • 以上により、原判決中の市敗訴部分を取り消し、被控訴人の請求をいずれも棄却した。

実務上のポイント

飲酒量と飲酒終了からの経過時間という客観的事情から酒気帯びの故意(未必的な認識)を認定した点、および職種の性質を重視して懲戒免職の裁量判断を是認した点が参考になります。地裁と高裁で結論が分かれており、公務員の懲戒処分に対する司法審査の振れ幅を示す事例といえます。なお、インターネット関連分野への直接の影響はありません。

※裁判例詳細ページの「判示事項の要旨」「裁判要旨」欄は空欄であり、上記の要旨は判決文PDFの記載に基づくものです。

出典:裁判例詳細ページ判決文PDF

出典

浅井裕貴弁護士(静岡県弁護士会)

静岡市清水区出身の弁護士。一橋大学・中央大学法科大学院卒業、静岡県弁護士会所属。ネットの誹謗中傷・発信者情報開示請求(意見照会・トレント対応を含む)、相続・遺言、交通事故案件に注力。基本情報技術者の知見を活かし、IT・インターネット分野の法律問題に対応している。