弊所FAQ16~闇バイトの刑は重い~
Q 闇バイトの刑は重いと聞きました。たとえば、強盗をして、被害者の方が亡くなった場合には、どのような刑になるのでしょうか。
A そのような場合、基本的には、死刑または無期懲役となります。
Q 殺すつもりが全くなかったとしても同じでしょうか。
A はい。
【解説】
近頃、「安易に闇バイトに手を染める人がいるのは、闇バイトの刑の重さが知られていないからではないか。」という意見をよく目にします。そこで、筆をとりました。
Qのとおり、強盗をして、被害者の方が亡くなった場合は、強盗殺人罪または強盗致死罪が成立し、死刑または無期懲役が科せられるとされています。
(強盗致死傷)
第二百四十条 強盗が、人を負傷させたときは無期又は六年以上の懲役に処し、死亡させたときは死刑又は無期懲役に処する。
ここで注目すべきは、「死亡させた」と定められており、「殺した」ではないということです。
刑法では、「殺した」は、殺意がある場合に限定する意味です。たとえば、殺人罪は、以下のように定められています。
最低懲役5年・最高で死刑となっています。
(殺人)
第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
そして、殺意なく人を死なせた場合の傷害致死罪は、以下のように定められています。
最低懲役3年・最高でも懲役20年です。
(傷害致死)
第二百五条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。
強盗が絡まない場合、「殺した」と「死亡させた」では、刑の重さが全く異なるのです。
しかし、強盗の場合は、「殺した」も「死亡させた」も、刑の重さは同じと定められています。
つまり、初めから被害者を殺して金品を奪おうと思った場合はもちろん、被害者を殺すつもりはなく結果的に死なせてしまった場合も、死刑または無期懲役とされているわけです。
たとえば、顔や首はふさがずに、粘着テープで被害者の方の肩から下をぐるぐる巻きにして、金品を奪ったところ、確かに被害者は窒息しなかったが、ぐるぐる巻きにされたために血栓ができて死亡してしまったなどという場合も、理論上、死刑または無期懲役となる可能性があります。
ということで、闇バイトの刑は、著しく重いというお話でした。