民法改正講義案14(経過規定6)
6 施行日に不法行為人損の時効・除斥期間が来ていなければ新法適用
【改正付則35条】 1 旧法第七百二十四条後段(旧法第九百三十四条第三項(旧法第九百三十六条第三項、 第九百四十七条第三項、第九百五十条第二項及び第九百五十七条第二項において準用する場合を含む。)において準 用する場合を含む。)に規定する期間がこの法律の施行の際既に経過していた場合における その期間の制限については、なお従前の例による。 2 新法第七百二十四条の二の規定は、不法行為による損害賠償請求権の 旧法第七百二十四条前段に規定する時効がこの法律の施行の際既に 完成していた場合については、適用しない。
(1)解説
これだけしか規定していないということは、施行日前に時効や除斥期間が経過していなければ、新法が適用されるということなのです。
(2)例
施行日までに、旧法による時効3年・除斥期間20年のいずれかが経過していなければ、新法の適用が受けられる。
旧法下で不法行為によって発生した場合、新法施行日までに時効が完成していなければ、更新や完成猶予の余地が出てきます。もし、生命身体損害であれば、時効期間は5年に延びます(もちろん、+5年ではなく、加害者損害を知ってから5年という意味である。)。
たとえば、2018年2月1日に不法行為を受けて人身損害が発生した場合、2021年2月1日までが時効ではなく、2023年2月1日まで時効期間が延びます。