【判例速報】大阪地裁・美顔器「IW波」表示と不正競争防止法・商標ほか計2件(2026年8月18日)

裁判所ウェブサイトの新着裁判例のうち、当サイトの過去の速報で未報告のものは2件です(うちインターネット関連 0件。ただし1件はウェブサイト上の表示の差止めが争われた事案)。

【注記】裁判所ウェブサイトには掲載日(公開日)が表示されないため、「昨日から本日にかけて公開された分」を厳密に特定することはできません。そのため、裁判年月日ベースで直近の新着一覧を確認し、当サイトの既報分との重複を除外しています。

1.大阪地方裁判所 令和8年7月30日判決(令和7(ワ)10447・不正競争行為差止等請求事件)

事案の概要

電子応用医療機器メーカーである原告(株式会社ジェイクラフト)が、美顔器「セルキュア」シリーズの特徴として用いる独自波形の表示「IW波」につき、被告(株式会社with)が美顔器「MAGIC LIFT」の広告・取扱説明書に「S.IW波」「IW波」を使用したことは不正競争(周知表示混同惹起・品質等誤認表示)及び商標権侵害に当たるとして、ウェブサイト上の被告標章の使用差止め、取扱説明書からの削除、被告標章付商品の販売差止め、及び約1223万円の損害賠償を求めた事案。

判断の要旨

結論:請求をいずれも棄却(訴訟費用は原告負担)。

  1. 不競法2条1項1号(周知表示混同惹起):「IW波」はローマ字2字に普通名詞「波」を結合したもので識別力に乏しく、原告の取扱説明書でも商品説明文中に埋め込まれ特に強調されていない。展示会等での積極的使用も令和5年4月以降と限定的であるから、商品等表示に該当しない。
  2. 不競法2条1項20号(品質等誤認表示):被告ウェブサイトは「S.IW波」を独自の波形として説明しており、「IW波」自体が特定の品質を識別させる表示でない以上、品質等誤認惹起性は認められない。
  3. 商標権侵害:原告商標は上下二段の結合商標で下段(英語部分)の識別力が強く全体として観察すべきところ、被告標章とは外観・称呼・観念のいずれも相違し、非類似である。

実務上のポイント

  • アルファベット数文字+普通名詞という「技術方式名」型の表示について、商品等表示性(識別力・周知性)を正面から否定した事例。自社技術の呼称を保護したい場合、商標登録に加え、カタログ・説明書・ウェブサイト上で当該呼称を独立・強調して継続使用してきた実績の立証が要となる。
  • インターネット関連業務への影響:本件はウェブサイト上の表示の差止めが請求の中心にあり、EC・広告表示に係る不競法2条1項1号・20号の主張立証の在り方(サイト上での説明の仕方が誤認惹起性の判断に影響し得ること)を示す点で、ネット広告・通販表示のリーガルチェックに参考となる。

出典:裁判例詳細判決文PDF

2.東京地方裁判所 令和8年7月15日判決(令和5(ワ)70502・特許権侵害差止等請求事件)【未精査】

知的財産裁判例集の新着一覧に掲載された特許権侵害差止等請求事件。裁判所ウェブサイトの詳細ページは、結果・判示事項・裁判要旨・参照法条のいずれも空欄であり、判決文PDF(hanrei-pdf-96920.pdf)は本日時点で404を返し取得できませんでした。

したがって、事案の概要・判断の要旨は原典未確認であり、本速報では【未精査】として掲出します。推測による補完は行っておりません。判決文PDFが公開され次第、改めて取り上げます。

出典:裁判例詳細

出典

※上記3つの新着一覧に掲載された裁判例のうち、本記事で取り上げた2件を除くものは、いずれも当サイト「判例速報」カテゴリの既存投稿で報告済みであることを確認しています。

浅井裕貴弁護士(静岡県弁護士会)

静岡市清水区出身の弁護士。一橋大学・中央大学法科大学院卒業、静岡県弁護士会所属。ネットの誹謗中傷・発信者情報開示請求(意見照会・トレント対応を含む)、相続・遺言、交通事故案件に注力。基本情報技術者の知見を活かし、IT・インターネット分野の法律問題に対応している。