長期間回答がなかったら紛争解決?弁護士が見解をお話します。
Q 私はBさんから金銭支払の請求を受けています。私がBさんに対し、反論の書面を送ったところ、もう半年間もBさんから回答がありません。これは、Bさんが請求を諦めたということであり、実質的には紛争解決ということですよね?
A その可能性が高いとは思います。しかし、時効が成立しない限りは、完全に安心できるものではないと考えます。
Q 時効はどれくらいですか?
A 純粋な民事事件でいえば、3~5年です。もし、刑事事件が絡む場合には、刑事事件としての時効も考慮する必要があります。
Q 刑事事件としての時効は何年ですか?
A 刑事訴訟法250条の規定によるので、案件によって様々です。たとえば、トレント(Torrent)でアップロード(ダウンロードと同時にアップロードした場合を含みます。以下同じ。)したことを理由に請求を受けている場合には、7年となります。
【解説】
ネットを拝見すると、相手方から長期間回答が無いことを理由に、紛争解決として喜んでいる方を見かけます。
もちろん、その可能性は高いといえます。請求する側は、原則として、出来る限り早く回収したいと考えていることが多いです。そのため、打てる手段は次々に打つことが多いでしょう。
仮に、相手方が、民事訴訟を検討している場合も、よほどの複雑な事案でもない限り、半年くらいで訴訟提起可能であることが多いです。つまり、仮に、半年間、何も反応がなく、かつ、訴状も届いていないということであれば、相手方は、打つ手がなく、請求を断念した可能性は高いといえます。
しかし、あくまで「可能性は高い」に過ぎません。ひょっとしたら、慎重に訴状を作成しており、時間がかかっているのかも知れません。
あるいは、単に体調を崩して、長期間、回答できないだけかも知れません。
要するに、長期間回答が無い理由は、相手方にしか分かりません。
紛争が解決したかどうかは、確実なところは相手方以外には分からないのです。
当方が忘れたころに訴えてくるかも知れません。
ただし、時効期間が過ぎれば、かなり安心です。
時効期間が過ぎれば、事実上、請求できなくなるからです。
理論上、時効期間が過ぎても民事訴訟を起こすこと自体は可能です。
しかし、普通は民事訴訟を起こしませんし、万一、起こしてきたとしても時効を主張するだけで(「消滅時効を援用します。」というだけで)、何とかなることが多いです。
つまり、単に長期間が過ぎたというだけでは安心できず、まずは、民事の時効が成立して初めて一安心ということになると考えます。
借金など、純粋な民事事件の場合は、時効が5年となることがほとんどです。したがって、純粋な民事事件については、5年過ぎれば、たいていの場合は安心といえます。交通事故の物損部分など、一部については、3年で時効が成立することもあります。
ただし、トレント(Torrent)など、刑事事件が絡む場合には、刑事事件としての時効も考慮する必要があります。
たとえば、トレント(Torrent)のアップロードの場合には、一応、刑事事件となるリスクがあります。そして、トレント(Torrent)のアップロードの場合、刑事事件としての時効は7年です。
そのため、5年が経過して、民事の時効が成立しても、まだ刑事事件としての時効が成立していないということはあり得ます(民事の時効と、刑事の時効は、起算点が異なりますが、分かりやすくするために、敢えてこのような記載をしております。)。
この場合、刑事事件としての時効が成立するまでは、安心とは言い難いということになります。
以上のとおり、私としては、相手方が時効期間を過ぎても回答してこない場合に、はじめて実質的に紛争解決になると考えております。

