被告宛て訴状は印刷して裁判所に!?(IT裁判FAQ24)

Q 令和8年5月から、依頼を受けた弁護士は訴状をどのようにして裁判所に提出することになるのでしょうか。

A mintsで必要事項をフォームに打ち込むか、訴状をPDFにしてmintsにアップロードすることになります。
弁護士は、mintsの利用が義務付けられます。

Q 弁護士以外は、mintsを義務付けられないということですね。では、被告にはどうやって訴状が送られるのでしょうか。訴えられた段階では、まだ被告に弁護士が就くかは分かりませんよね?

A 原告側の弁護士が、mintsにアップロードした訴状のデータを紙に印刷して裁判所に送り、裁判所が紙を、被告に送達してくれるそうです。

Q 裁判所が、印刷して送った方が早いのでは?

A 私もそう思います。

【解説】

令和8年5月から、依頼を受けた弁護士が訴訟を提起する場合、mintsの利用を義務付けられることになりました。
つまり、これまでのように、紙で訴状を提出することはできなくなるのです。

ただし、mintsの利用を義務付けられるのは、依頼を受けた弁護士だけです(厳密にいえば、依頼を受けた簡裁代理権のある司法書士の先生なども含まれます。)(令和8年民訴法132条の11第1号)。
つまり、弁護士以外の方は、mintsの利用を義務付けられません。
そうなると、一つ疑問が出てきます。

「被告側は、訴状が届いてから弁護士に依頼するか否かを決めることが多い。では、被告は、どうやって訴状を受け取ったらよいのであろうか?」

実は、mintsにアップロードされた訴状を、原告側弁護士が紙に印刷し、それを裁判所に送ります。
印刷された紙を受け取った裁判所が、受け取った紙を、被告に送るということになっています。
(令和8年民訴法109条、民訴規則58条1項)

mintsにアップロードされた訴状を、裁判所が紙に印刷してくれれば話は早そうなのに、なぜか、そうなっていません。
逆に、「それならば訴状だけは紙で提出してもよいことにして、被告分も一緒に裁判所に提出すればよいではないか。」とも言いたくなりますが(現行の民訴法は、そうなっています。)、そうなっていません(令和8年民訴法民訴法132条の11第1号)。


ということで、被告の訴状の送り方については、良く分からない点があるという話でした。

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