弊所FAQ22~口外禁止条項とは~

Q 「口外禁止条項」とは何ですか。

A 文字通り、第三者への口外を禁止する条項です。何について口外を禁止するのかが重要になります。

【解説】

某有名人の方の案件のためか、口外禁止条項への関心も高まったように思えます。

そして、口外禁止条項で重要なのは、何に対して口外を禁止するのかという点です。

たとえば、Xさんが、Y社に対し、未払残業代を請求して、Y社がXさんに100万円を支払うという和解が成立しそうになったところ、Y社が「和解条項に、口外禁止条項を盛り込んでほしい。」と言ってきたとします。

この場合、どのようなパターンの口外禁止条項が想定されるでしょうか。

よく見かけるのは、①和解内容に関する口外禁止条項です。つまり、和解金額100万円であることは口外禁止であるが、和解したこと自体は口外してもよいというものです。Y社側から提案されることが多いと思います。しかし、Xさんとしても、和解金額が周囲にばれると、給料の額を推測される恐れがあるとして、Xさん側から提案することもあるでしょう。

ただ、場合によっては、②和解したこと自体まで含めて口外禁止の対象にすることもありえます。これも、Y社側から提案されることが多いと思います。しかし、Xさん以外にも残業代を請求している同僚がいる場合、同僚から「Xさんは抜け駆けした」などと言われないよう、Xさん側から提案されることもあります。

さらに、③和解に至る経緯(未払い残業代があったこと等)までを含めて口外禁止の対象にすることもあります。これは、Y社側から提案されることがほとんどだと思いますが、稀には、Xさん側から提案することもあるかも知れません。

ということで、口外禁止条項自体は、文字通りの解釈で間違いありません。
しかし、口外禁止条項の対象が重要というお話でした。

なお、「口外」と表現しますが、当然、第三者への漏洩全部を含みます。
たとえば、①のパターンの口外禁止条項を締結した際、「和解金額は100万円でした。」とSNSに書き込むことも口外禁止条項違反です。
「口にはしていない。SNSに書いただけだ」という言い訳は通りませんので、ご安心ください。