弊所Q&A19~具体的な方が名誉毀損になりやすい~
Q インターネットにおいて、どのような書込であれば、名誉毀損とされやすいのでしょうか。
A 判例や私の経験からは、具体的な事柄を記載している書込ほど、名誉毀損が認められやすといえます。ただし、名誉毀損にならなくとも、侮辱やプライバシー侵害、いじめに当たる可能性があることにはご注意ください。
【解説】
書き込まれた側としては、不快な書込が全て名誉毀損であると言いたいところです。
しかし、裁判で名誉毀損が認められるには、一定のハードルを越える必要があります。
すなわち、具体的な事柄の書込が必要であるということです。
たとえば、ある獣医師Aに関し、「Aは、ぼったくりである。」とだけ書き込んだ場合、「書込者が『高価』と感じたに過ぎない」とされ、名誉毀損の成立が認められない可能性があります(ただし、侮辱になる可能性は別途あります。)。
しかし、ある獣医師Aに関し「Aには『治療費5万円』と言われたが、別の獣医師Bでは『8000円』と言われた。」という趣旨の書込では、名誉毀損が認められたという例があります(東京地判令和3年4月27日)。
これは、治療費の金額まで示すことにより、具体的な事柄を書いたと認められたからでしょう。
このように、具体的な方が、比較的、名誉毀損が成立しやすいといえます。
ただし、繰り返しとなりますが、具体的でないとしても、侮辱が成立することはありえます。
そのため、「具体的でなければ、何を書いても良い」とは誤解しないでくださいませ。