【判例速報】アイヌのサケ捕獲漁業権を否定(札幌高裁)/いじめ自死で学校法人に賠償命令(長崎地裁)|2026年7月23日

本日の新着判例:2件

※裁判所ウェブサイトには掲載日(公開日)が表示されないため、裁判年月日を基準に直近の新着分を確認しています。本日時点で、明確にインターネット関連分野(発信者情報開示、プロバイダ責任制限法/情報流通プラットフォーム対処法、ネット上の名誉毀損・プライバシー侵害等)に該当する新着の下級審・最高裁判例は確認できませんでした。以下は、分野を問わず実務上参考となる直近の新着判例です(いずれも裁判所ウェブサイトの原典PDFで内容を確認済み)。なお、最高裁・知財高裁の「最近の裁判例」一覧は動的表示のため今回自動取得できず、下級裁速報の新着一覧および補助的なサイト内検索で確認しました。


1. アイヌ集団のサケ捕獲漁業権を否定(先住民族の権利・国際人権条約)

  • 裁判所・年月日:札幌高等裁判所 令和8年7月2日判決
  • 事件番号:令和6(行コ)9(サケ捕獲権確認請求控訴事件、控訴棄却)/原審 札幌地裁 令和2(行ウ)22

事案の概要:浦幌町在住のアイヌで構成される権利能力なき社団が、アイヌ集団固有の権利として浦幌十勝川でのサケ捕獲漁業権を有すること等の確認を求めた控訴審。

判断の要旨:控訴棄却。本件漁業権は精神的側面を有するが財産権的側面が強く、憲法13条の文化享有権の一環として保障されるとは認められない。自由権規約1条・27条、社会権規約15条、人種差別撤廃条約、先住民族宣言はいずれも本件漁業権という具体的権利を付与するものではない。水産資源保護法28条(内水面でのサケ採捕の原則禁止)は違憲無効とはいえない。

実務上のポイント:先住民族の権利、国際人権条約の国内的効力・裁判規範性に関する重要な高裁判断。ネット関連業務への直接の影響はないが、憲法・行政訴訟実務で参照価値が高い。

出典https://www.courts.go.jp/hanrei/96820/detail4/index.html


2. いじめ自死と学校法人の安全配慮義務(一部認容)

  • 裁判所・年月日:長崎地方裁判所 民事部 令和8年6月8日判決
  • 事件番号:令和4(ワ)267(損害賠償等請求事件)

事案の概要:私立中高一貫校の生徒がいじめを苦に自死したとして、両親が学校法人に対し、在学契約上の安全配慮義務違反(いじめ早期発見体制構築義務・適正対処義務)、遺族への配慮義務違反等に基づく損害賠償と、死者の名誉毀損(民法723条類推)に基づく謝罪文掲載を求めた事案。

判断の要旨(主文より):被告に対し両親各165万円及び遅延損害金の支払を命じ、その余の請求(各1100万円等の慰謝料および謝罪文掲載請求)はいずれも棄却。訴訟費用は10分の9を原告負担とした。
※判決理由中の各争点(いじめの認定範囲・因果関係・各義務違反の成否)の詳細な判断部分は原典全文PDFの後半に記載。今回、主文・認容額は確認済みだが、理由部分の詳細は未精査。

実務上のポイント:いじめ防止法上の安全配慮義務、第三者委員会報告の受入れ拒否・遺族対応をめぐる学校側の義務、死者の名誉毀損に基づく謝罪広告請求(民法723条類推適用)が争点。学校事故・損害賠償実務で参考。

出典https://www.courts.go.jp/hanrei/96797/detail4/index.html

浅井裕貴弁護士(静岡県弁護士会)

静岡市清水区出身の弁護士。一橋大学・中央大学法科大学院卒業、静岡県弁護士会所属。ネットの誹謗中傷・発信者情報開示請求(意見照会・トレント対応を含む)、相続・遺言、交通事故案件に注力。基本情報技術者の知見を活かし、IT・インターネット分野の法律問題に対応している。