弊所FAQ20~「限り」は「までに」~
Q 私が、Aさんに対し、「令和7年6月30日限り、50万円を支払う」ということになっている和解書を交わしました。当初は、資金繰りに不安があったので、支払日を先延ばしにしてもらいました。しかし、今は、資金繰りに目途が立ったので、すぐにでも支払いたいです。でも、令和7年6月30日にしか支払ってはいけないのでしょうか。
A いいえ。和解書でいう「限り」とは、「までに」という意味です。したがって、令和7年6月30日より早く支払う分には全く問題ありません。
【解説】
民法に定められているわけではないのですが、一種の法律用語として「限り」は「までに」の意味で使われます。
つまり、「令和7年6月30日限り」とは、「令和7年6月30日までに」という意味となります。
決して、「令和7年6月30日のみ」という意味ではありません。
なぜ、このような使い方をするのか、私もよく存じ上げません。
ただ、日常用語でも、「までに」の意味で「限り」を使う例が一応あります。
それは、スーパーの特売です。
特売品は、買い占めを防止するため、購入個数に上限を決められる場合があります。
たとえば、特売の際に「お一人様2点限り」という表現をご覧になったことがある方は多いのではないでしょうか。
「お一人様2点限り」の場合、「1人あたり2点まで買える」という意味であると思います。
つまり、2点を超えて3点買うことはできません。
ただし、1点だけ買うことは許されるはずです。「『2点限り』なので、1点だけ買うことは認めません。」というスーパーは、稀なはずです。
このように、日常用語でも、「限り」を「までに」の意味で使うことがあります。
ということで、和解書などで「限り」を見たら、「特売での購入個数上限みたいなものか」と思っていただけますと幸いです。