民法改正講義案8(代理2)
2 復代理人選任の責任は、一般原則で処理
(1)ひとこと解説
復代理人を選任したとしても、責任が軽くなるわけではありません。
(2)そもそも、復代理とは
代理人によって選任された、もう一人の代理人です。
たとえばAさんがBさんを代理人に選任したとします。その後、Bさんが、Cさんを代理人に選任した場合、Cさんを「復代理人」と呼びます(ちなみに、ここでいうAさんを「本人」といいます。)。勘違いされやすいのですが、この場合のCさんは、あくまでAさんの代理人です。Bさんの代理人ではありません。
(3)詳細解説
復代理人選任の責任に関する条文(旧105条)は削除されます。したがって、復代理人の選任をしたとしても、特に責任が軽減されるわけではありません。
旧法では、本人の許諾がある場合には、復代理人の選任・監督について責任を負うのみでした。俗な表現を用いれば、ちゃんとした人を復代理人に据えれば、仮に復代理人が何か失敗したとしても、もともとの代理人は責任を負わないのです。
(4)例
たとえば、AさんがBさんを、債権回収の代理人に選任し、BさんがさらにCさんを債権回収の代理人にしたとします。この場合、Aさんは「本人」・Bさんは「代理人」・Cさんを「復代理人」といいます。
ところが、なんとCさんは、回収したお金を持ち逃げしました。旧法では、Bさんが、Cさんがちゃんとした人であることを調べて選任し、かつ、定期的に監視をしていた場合、BさんはAさんに対し責任を負いません。しかし、新法では、Cさんがちゃんとした人であろうとなかろうと、Bさんが監視をしていたとしても、Aさんに対し責任を負います。