子どもが親に黙ってしたネット課金は取り消せるか|「成年ですか」に「はい」を押していた場合と、取り消せない場合を弁護士が解説します

Q 高校2年生の息子(17歳)が、私に黙って、スマートフォンのゲームで3か月のうちに合計15万円ほど課金していました。代金は携帯電話の料金と一緒に請求されており、携帯電話の契約者は私です。購入の画面には「あなたは成年ですか」という確認があり、息子は「はい」を押して進んでいたようです。親として、この課金をなかったことにできるのでしょうか。

A 未成年者が親の同意を得ずにした契約は、原則として取り消すことができ、「成年ですか」に「はい」を押しただけであれば、それを理由に取消しができなくなるわけではないと解されています。ただし、お小遣いとして自由に使うことを許したお金の範囲での支払であった場合や、年齢確認の仕組みとその他の事情によっては、取り消せないこともあります。

未成年者が親の同意なくした契約は、取り消すことができます

民法4条は、年齢18歳をもって成年とすると定めています。成年年齢は、令和4年4月1日に20歳から18歳に引き下げられました。現在は、18歳未満の人が未成年者です。

民法5条1項は、未成年者が法律行為をするには法定代理人(通常は親権者である親)の同意を得なければならないと定め、同条2項は、これに反する法律行為は取り消すことができると定めています。ゲームの課金も、お金を払ってアイテムなどを買う契約ですので、この規定の対象になります。

取り消すことができるのは、未成年者本人だけではありません。民法120条1項は、行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者(未成年者)又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者が取り消せると定めています。親も、法定代理人として取り消すことができます。

なお、経済産業省の「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」(令和7年2月12日)は、携帯電話料金と一緒に代金を払う方法(いわゆるキャリア決済)であっても、ゲームなどの個々の契約は携帯電話の契約とは別のものであり、携帯電話の契約者が親であっても、その個々の契約の申込者が誰かという点から判断すべきであるとしています。

取り消せないのは、どのような場合か

未成年者の契約でも、次の場合は取り消すことができません。

  • 親の同意を得ていた場合(民法5条1項)
  • 単に権利を得、又は義務を免れるだけの行為である場合(同項ただし書)
  • 親が目的を定めて処分を許した財産を、その目的の範囲内で使った場合や、目的を定めないで処分を許した財産を使った場合(同条3項)
  • 営業を許された未成年者が、その営業に関してした行為である場合(民法6条1項)

日常の場面で問題になりやすいのは、5条3項です。前記の準則は、使い道を限らずに与えられたお小遣いの範囲で未成年者が取引をする場合を、目的を定めないで処分を許した財産の例として挙げています。たとえば、毎月のお小遣いを貯めたお金で、プリペイドカードを買ってゲームに使った、という場面です。

他方で準則は、利用金額が比較的低額に設定されていたとしても、処分を許した財産に当たるかは個々の親子の間の事情によるため、金額が低いという点だけから判断することはできないとしています。

「成年ですか」に「はい」を押したことは「詐術」に当たるか

民法21条は、制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができないと定めています。未成年者が、成年であると偽って契約した場合が、これに当たるかどうかの問題です。

前記の準則は、単に「成年ですか」との問いに「はい」のボタンをクリックさせる場合を、取り消すことができる(詐術に当たらない)と解される例として挙げています。利用規約の一部に「未成年者の場合は法定代理人の同意が必要です」と書いてあるだけの場合も、同じく例に挙げられています。

これに対し、申込み画面で「未成年者の場合は親権者の同意が必要である」と明確に警告したうえで、生年月日などを入力させていたのに、未成年者が偽りの生年月日を入力した場合には、詐術に当たり、取消しができなくなる可能性があるとされています。

もっとも準則は、偽りの年齢や生年月日を入力したという事実だけで詐術と断定することはできず、次のような事情を総合して判断されるとしています。

  • 未成年者の年齢
  • 商品やサービスが、未成年者を対象にし、又は未成年者を取引に誘うような性質のものか
  • 取引をした価格の多寡
  • 年齢確認の画面の表示が、未成年者に警告の意味を分からせるに足りるものか
  • 偽りの入力をして取引することを難しくする仕組みになっているか

冒頭のご質問の場合、まず、購入の画面がどのような確認をしていたのかを、画面の写しなどで確かめておくことが大切です。

取り消すと、支払ったお金や受け取ったものはどうなるか

民法121条は、取り消された行為は初めから無効であったものとみなすと定めています。そして民法121条の2第1項は、無効な行為に基づいて給付を受けた者は相手方を原状に復させる義務を負うとし、同条3項後段は、行為の時に制限行為能力者であった者は、その行為によって現に利益を受けている限度において返還の義務を負うと定めています。

前記の準則は、未成年者が高額のゲームサービス等をすでに利用してしまったような場合について、返還すべき現存利益が存在しないと評価され、未成年者が利用料金相当額の返還義務を負わない場合があるとの考え方を示しています。

ただし、キャリア決済やクレジットカードのように、契約の当事者以外の決済業者が間に入っている場合、取消し後の決済業者との関係は、原則として携帯電話会社と携帯電話の契約者などの間の契約内容によるとされています。取り消せば請求がすべて止まる、とは限りません。

支払う前に、期限と「追認」に注意してください

民法126条は、取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは時効によって消滅し、行為の時から20年を経過したときも同様であると定めています。

また、民法122条は、取り消すことができる行為を追認したときは、以後取り消すことができないと定めています。民法125条は、追認をすることができる時以後に、全部又は一部の履行、履行の請求などがあったときは、異議をとどめた場合を除き、追認をしたものとみなすと定めています。請求されるままに支払う前に、取り消すかどうかを決めておく必要があります。

さらに、民法20条は、相手方の事業者が、1か月以上の期間を定めて、追認するかどうかを答えるよう催告できるとしています。同条2項により、未成年者が成年に達する前に法定代理人である親が催告を受け、その期間内に確答を発しないときは、追認したものとみなされます。

よくあるご質問

子どもがすでに18歳になりました。もう取り消せませんか。

契約をした時に未成年者であったかどうかが問題です。民法124条1項は、追認は取消しの原因となっていた状況が消滅し、かつ、取消権を有することを知った後にしなければ効力を生じないとしており、成年に達した後も、民法126条の期間内であれば取消しを検討できます。ただし、成年に達した後に支払を続けると、民法125条により追認とみなされるおそれがあります。

生年月日を入力する画面で、子どもが偽りの生年月日を入れていました。

詐術に当たる可能性はありますが、それだけで決まるわけではありません。前記の準則は、画面上の警告の内容、商品やサービスの性質、金額、年齢確認の仕組みが偽りの入力を難しくするものだったかなどを総合して判断されるとしています。

子どもが私のクレジットカードを無断で登録して使っていました。

前記の準則は、未成年者が親名義のカード情報を入力できたという一事をもって、親の同意があったと推定するのは妥当ではないとしています。ただし、カード会社との関係は、カード会社と名義人である親との契約内容によって判断されることになりますので、カードの利用規約もあわせて確かめる必要があります。

要点の整理

  1. 18歳未満の未成年者が親の同意なくした契約は、本人又は親が取り消すことができる(民法4条・5条1項・2項・120条1項)。
  2. 親の同意があった場合、お小遣いなど処分を許された財産の範囲内の場合、営業を許された場合などは取り消せない(民法5条1項・3項、6条1項)。
  3. 詐術を用いた場合は取り消せないが、「成年ですか」に「はい」を押しただけでは詐術に当たらないと解されている(民法21条、経済産業省準則)。
  4. 取り消すと契約は初めから無効となり、未成年者の返還義務は現に利益を受けている限度にとどまる(民法121条・121条の2第3項)。
  5. 取消権には期間の制限があり、支払や事業者からの催告への無回答は追認とみなされることがある(民法20条・125条・126条)。

※本記事の条文は、2026年10月7日時点のものです。

お子さまの契約の取消しを考えている方へ

事業者から「追認するかどうかを期限までに回答してください」という書面が届いたのに返事をしないでいると、追認したものとみなされ、それ以後は取り消すことができなくなります。

取り消すかどうか、どのような書面で伝えるかを決める前にご相談をご希望の方は、ご相談のご予約からお申し込みください。事業者から返金や支払についての合意書を示された場合は、契約書・和解書・示談書のサイン前レビューもご利用いただけます。費用の定めは弁護士費用に掲載しています。

※本記事は一般的な法律解説であり、個別の事案についての法的助言ではありません。具体的な事案は弁護士にご相談ください。

請求書を支払う前に

購入画面の年齢確認は「はい」を押すだけだったか。お小遣いの範囲を超えていないか。事業者から回答期限つきの書面が届いていないか。支払ってしまうと、取消しの主張が難しくなることがあります。購入履歴と画面の写しを手元に残したうえで、お早めにご相談ください。

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浅井裕貴弁護士(静岡県弁護士会)

静岡市清水区出身の弁護士。一橋大学・中央大学法科大学院卒業、静岡県弁護士会所属。ネットの誹謗中傷・発信者情報開示請求(意見照会・トレント対応を含む)、相続・遺言、交通事故案件に注力。基本情報技術者の知見を活かし、IT・インターネット分野の法律問題に対応している。