【判例速報】福岡地裁久留米支部・暴力団事務所使用禁止の仮処分/名古屋地裁・LINE通話を用いた国際特殊詐欺(2026年9月12日)

裁判所ウェブサイトの新着裁判例のうち、当サイトの過去の速報で未報告のものは2件です(うちインターネット関連分野に関わるものは1件)。

【注記】裁判所ウェブサイトには掲載日(公開日)が表示されないため、「昨日から今日に公開されたもの」を厳密に特定することはできません。裁判年月日ベースで直近の新着分を確認しています。

1.福岡地方裁判所久留米支部 令和8年7月17日決定

  • 裁判所:福岡地方裁判所久留米支部
  • 裁判年月日:令和8年7月17日
  • 事件番号:令和8年(ヨ)第10号
  • 事件名:事務所使用禁止等仮処分申立事件

事案の概要

債権者が、債務者に対し、別紙物件目録記載の建物を、指定暴力団道仁会出口一家その他の暴力団の事務所または連絡場所として使用することの禁止を求めた仮処分申立て事件です。

判断の要旨

裁判所は申立てを相当と認め、これを認容しました。
もっとも、公開されている決定書の理由部分は「(別紙掲載省略)」とされており、被保全権利および保全の必要性に関する具体的な理由は公表資料からは確認できません。裁判所ウェブサイトの詳細ページでも判示事項・裁判要旨は掲載されておらず、要旨は未精査です。

実務上のポイント

暴力団事務所の使用禁止仮処分が認容された近時の実例です。ただし理由が非公表であるため、判断枠組みの詳細は本件の公表資料からは読み取れません。インターネット関連業務への直接の影響は確認できませんでした。

2.名古屋地方裁判所 令和8年7月7日判決

  • 裁判所:名古屋地方裁判所
  • 裁判年月日:令和8年7月7日
  • 事件番号:令和7年(わ)第1024号
  • 事件名:詐欺

事案の概要

被告人両名が、高度に組織化された特殊詐欺グループの一員として、警察官・検察官になりすまし、被害者に対し「あなたの銀行口座がマネーロンダリングに使用されている」などと虚偽を告げ、身の潔白を証明するために指定口座への振込が必要であると誤信させて金員を詐取した事案です。
通信手段としてLINEのアプリケーション通話機能が用いられ、ミャンマー国内から架電されていました。被害者は米国内および日本国内におり、被害は3件・合計1585万円です。グループは1線(警察官役)・2線(取調官役)・3線(検察官役)に役割が分担されていました。

判断の要旨

裁判所は被告人両名をいずれも懲役4年6月に処し、未決勾留日数320日を各自の刑に算入しました。
高度に組織化された特殊詐欺グループの一環として手口が卑劣かつ巧妙であり、被害額も相当高額であること、両被告人がいずれも「1線」として重要な役割を果たしたことから刑事責任は重いとする一方、実態解明への供述協力、前科の状況、反省の態度を酌むべき事情として考慮しています。

実務上のポイント

LINEの通話機能を利用し、国外拠点から敢行された国際的な特殊詐欺(いわゆる「なりすまし詐欺」)の量刑例です。SNS・メッセージングアプリを用いた詐欺の被害回復や、発信者・口座名義人の特定といったインターネット関連業務にも参考になります。
なお、裁判所ウェブサイトの詳細ページでは判示事項・裁判要旨がいずれも空欄であり、上記の要旨は判決文PDFの記載に基づくものです。

出典

浅井裕貴弁護士(静岡県弁護士会)

静岡市清水区出身の弁護士。一橋大学・中央大学法科大学院卒業、静岡県弁護士会所属。ネットの誹謗中傷・発信者情報開示請求(意見照会・トレント対応を含む)、相続・遺言、交通事故案件に注力。基本情報技術者の知見を活かし、IT・インターネット分野の法律問題に対応している。