【判例速報】仙台地裁・映画「ネタバレサイト」運営と著作権法違反/最高裁・外国人の生活保護と個別意見ほか計5件(2026年9月15日)
裁判所ウェブサイトの新着裁判例のうち、当サイトの過去の速報で未報告のものは5件です(うちインターネット関連分野に直接該当するものは1件)。
【注記】裁判所ウェブサイトには掲載日(公開日)が表示されないため、「昨日から本日に公開された分」を厳密に特定することはできません。そのため、裁判年月日ベースで直近の新着一覧(下級裁判所(速報)・新着統合・知的財産裁判例集の3本)を確認し、既報分との重複を除いて掲載しています。
裁判年月日が8月のものも、裁判所ウェブサイトに新たに掲載されたと認められ、かつ未報告のものは対象に含めています。
1 仙台地裁・映画の「ネタバレサイト」の組織的運営と著作権法違反
- 仙台地方裁判所第1刑事部/令和8年8月3日/令和8年(わ)第179号
- 事案:人気の高い映画のいわゆる「ネタバレサイト」を組織的に運営したとされる著作権法違反事件(被告人は法人1社および個人4名)。
- 判断の要旨:量刑は、法人に罰金100万円、代表者に懲役2年および罰金100万円(3年間執行猶予)、他の被告人に懲役1年(2年間執行猶予)、罰金50万円、罰金30万円。著作権者が正当な対価を収受する権利を侵害し映画文化の発展を阻害した点および利欲的動機を非難しつつ、社会内での更生が可能とした。
- 留意(未精査):判決書は「罪となるべき事実」を起訴状記載の公訴事実の引用とし、「法令の適用」も省略とされているため、侵害態様(複製・公衆送信等)および適用条項は判決書から確定できない。
- 実務上のポイント:ネタバレサイトの運営が刑事責任(法人処罰を含む)に至った事例であり、ネット上の著作権侵害案件の見通しの参考となる。
- 出典:裁判例詳細/判決文PDF
2 最高裁・応急仮設住宅の供与期間経過後の占有と使用料等相当損害金(反対意見あり)
- 最高裁判所第二小法廷/令和8年9月14日/令和7年(受)第1337号(判決・棄却)。原審:東京高等裁判所 令和6年(ネ)第1962号(令和7年2月12日)
- 事案:東日本大震災の被災者に対し、区が区民住宅を目的外使用により応急仮設住宅として供与していたところ、供与終了(平成30年3月31日)後も占有を続けた者に対し、区が使用料等相当損害金の支払を求めた事案。
- 判断の要旨:上告棄却。仮に区の退去請求が権利濫用に当たるとしても、それによって占有に係る使用料等相当損害金が発生しないことにはならないとして、上告人の権利濫用・信義則違反の主張は前提を欠くとし、請求を認容した原審の判断を正当として是認した。裁判官三浦守の反対意見(災害救助法等の解釈を誤り審理を尽くしていないとして破棄差戻しを主張)が付されている。
- 実務上のポイント:明渡請求についての権利濫用の主張が、金銭請求(使用料相当損害金)の成否には直結しないことを示した判断。
- 出典:裁判例詳細/判決文PDF
3 最高裁・外国人の生活保護申請却下と生活保護法1条・2条の憲法適合性(個別意見あり)
- 最高裁判所第二小法廷/令和8年9月9日/令和6年(行ツ)第372号(決定・棄却)。原審:東京高等裁判所 令和6年(行コ)第34号(令和6年8月6日)
- 事案:療養を目的とする在留資格(特定活動)で在留する外国人が、生活保護の申請を却下した市長の処分(令和3年12月1日)の取消しおよび生活保護開始決定の義務付け等を求めた事案。
- 判断の要旨:上告棄却。多数意見は、上告の理由が明らかに民訴法312条1項・2項に規定する事由に該当しないとした。もっとも、高須順一裁判官の補足意見(昭和29年通知に基づく行政措置の実績と経緯を考慮すべき旨)および三浦守裁判官の反対意見(療養活動の在留資格を有する外国人など一定の外国人を除外する部分は憲法25条・14条1項に違反し無効であり、原判決を破棄し差し戻すべき旨)が付されている。
- 実務上のポイント:外国人の生活保護受給資格をめぐる憲法論について、最高裁裁判官の個別意見が示された事例。
- 出典:裁判例詳細/決定文PDF
4 知財高裁・実用新案権は設定登録により発生し、出願時に遡及しない
- 知的財産高等裁判所/令和8年9月9日/令和8年(ネ)第10049号(控訴棄却。権利種別:実用新案権)。原審:東京地方裁判所 令和6年(ワ)第70485号
- 事案:「テレホンカード」を名称とする実用新案権の権利者が、原々出願日(昭和59年9月5日)から平成11年9月5日までの被告製品の製造販売が権利侵害に当たるとして1000万円および遅延損害金を請求した事案。本件実用新案権の設定登録は平成22年4月2日。
- 判断の要旨:控訴棄却。実用新案権は設定の登録により発生するものであるから、その権利ないし効力が原々出願時(昭和59年9月5日)に遡及して発生するとの控訴人の主張は採用できず、登録前の行為は権利侵害とならない。
- 実務上のポイント:権利発生時期という基本原則の確認。登録が大幅に遅れた事案でも、登録前の実施行為に権利は及ばない。
- 出典:裁判例詳細/判決文PDF
5 東京地裁立川支部・精神科病院の任意入院における隔離と退院支援義務
- 東京地方裁判所立川支部/令和8年8月17日/令和4年(ワ)第461号
- 事案:精神科病院に任意入院していた原告が、病室の施錠による監禁(220万円)および退院支援義務違反(330万円)等を理由に、病院を運営する医療法人および院長らに損害賠償を請求した事案。
- 判断の要旨:一部認容。医療法人および院長に対し連帯して55万円および令和3年7月28日から年3%の遅延損害金の支払を命じ、その余の請求を棄却した。施錠による監禁は認定せず、任意入院では患者本人の同意を前提に自由に退院できるため「退院の申出」がない段階での退院支援は法律上の義務ではないとした一方、「退院の申出」は適切な受入先の確保という客観的状況を前提とせず、退院を希望する意思表示であれば足りると判示した。令和3年3月9日以降の隔離措置の一部を違法とした(当該判断の詳細な理由付けは未精査)。
- 実務上のポイント:任意入院患者の隔離の適法性、および「退院の申出」の解釈に関する判断。
- 出典:裁判例詳細/判決文PDF
出典
- 裁判所ウェブサイト 下級裁判所(速報)新着一覧
- 裁判所ウェブサイト 新着統合一覧
- 裁判所ウェブサイト 知的財産裁判例集 新着一覧
- 仙台地裁令和8年8月3日:裁判例詳細/PDF
- 最高裁第二小法廷令和8年9月14日:裁判例詳細/PDF
- 最高裁第二小法廷令和8年9月9日:裁判例詳細/PDF
- 知的財産高等裁判所令和8年9月9日:裁判例詳細/PDF
- 東京地裁立川支部令和8年8月17日:裁判例詳細/PDF

