【判例速報】大阪地裁・SNS「X」への無断投稿と情プラ法3条1項(2026年9月5日)
裁判所ウェブサイトの新着裁判例のうち、当サイトの過去の速報で未報告のものは1件です(インターネット関連分野に直接該当します)。
【注記】裁判所ウェブサイトには掲載日(公開日)が表示されないため、「昨日から本日に公開された分」を厳密に特定することはできません。そのため、裁判年月日ベースで直近の新着一覧(下級裁判所(速報)・新着統合・知的財産裁判例集の3本)を確認し、当サイトの既報分との重複を個別に除外しています。
1.大阪地方裁判所 令和8年8月27日判決(令和7(ワ)12790・損害賠償等請求事件/権利種別:著作権)
事案の概要
経営コンサルティング業等を目的とする原告会社は、コンテンツ配信プラットフォーム上のアカウントでアダルト動画作品を販売していたところ、SNS「X」上の投稿によって当該動画(本件各映画)の複製物が無断でアップロードされたとして、Xを設置・運営する米国ネバダ州法人X Corp.に対して削除申請を行いました。被告がこれを拒否したため、原告が著作権侵害を理由に損害賠償を求めた事案です。
判断の要旨
請求棄却(訴訟費用は原告の負担)。裁判所は、情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法。旧プロバイダ責任制限法)3条1項1号・2号の該当性を争点として判断し、被告は権利侵害を知っていたとも、知ることができたと認めるに足りる相当の理由があったともいえないとしました。
- 本件各映画には原告の名称が表示されておらず、著作者名の表示もなかったこと
- 販売元アカウントの表示画面にも、原告の名称の表示も本件各映画の著作者名の表示もなかったこと
- 本件各映画の確認にはメールアドレスとパスワードの入力が必要であり、被告が当該ウェブページのURLからページに到達したとしても、本件各映画の内容を確認することはできなかったこと
さらに裁判所は、大規模特定電気通信役務提供者が多数の利用者からの削除申請を類型的に処理するために申請フォームを用意し、当該フォームに記載された情報に基づいて対応していることをもって、情プラ法所定の「必要な調査」を怠ったと評価することはできないと判示しました。この判断により、その他の争点(争点1・3)の検討には至っていません。
裁判体は、裁判長裁判官 水野正則、裁判官 西尾太一、裁判官 横井真由美です。
実務上のポイント
- 情プラ法3条1項の責任制限規定について、大規模プラットフォーム事業者による「削除申請フォームを用いた類型的処理」が、必要な調査を怠ったものとは評価されないことを明示した点が実務上重要です。
- 権利者側の実務としては、削除申請の段階で、①申請者が権利者本人であること、②投稿物が申請者の著作物であることを、プラットフォーム側が申請フォームの記載情報のみで確認できる形で示すことが決定的になります。
- 会員限定・パスワード保護のコンテンツは、プラットフォーム側が原作品を閲覧できないため、対照可能な資料を添付するなどの追加の工夫が必要です。
- 作品自体および販売ページに権利者名・著作者名を表示しておくことが、後の責任追及の前提として意味を持つことが示されています。
精査状況について
- 上記1件は、裁判例詳細ページの「判示事項の要旨」「裁判要旨」「参照法条」欄がいずれも空欄であり、本記事の要旨は判決文PDFの記載に拠っています。原典(courts.go.jp掲載のPDF)は確認済みです。
- 下級裁判所(速報)一覧は先頭30件のみが静的に取得可能であり、31件目以降は本日の確認範囲に含まれていません。
出典
本記事は、裁判所ウェブサイト(courts.go.jp)掲載の以下の公式ページに基づいています。

