民法改正講義案4(売買4)-損害賠償請求に帰責事由は必要?-
4 債務者に帰責事由がある場合に限り、損害賠償請求できる
【第415条】
1 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
2 前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において、債権者は、次に掲げるときは、債務の履行に代わる損害賠償の請求をすることができる。
一 債務の履行が不能であるとき。
二 債務者がその債務の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。
三 債務が契約によって生じたものである場合において、その契約が解除され、又は債務の不履行による契約の解除権が発生したとき。
(1)ひとこと解説
債務者に帰責事由(落ち度)がある場合に限り、債権者は債務者に損害賠償請求できます。
(2)詳細解説
債務者に帰責事由がある場合に限り、損害賠償請求できます。旧法では、瑕疵担保責任として、帰責事由がなくても、損害賠償しなければならないことがありました。
さらに、債務の履行に代わる損害賠償(=填補賠償=引き渡すべき物が引き渡されていたら得られた利益を賠償するもの)が規定されました。旧法下でも解釈上認められてきましたが、今回条文化されました。
(3)補足
ア 2項の意味
XがY自動車屋で中古車を買って代金を渡したけれども、引き渡し前にY自動車屋がその中古車をぶつけ、廃車になったとしましょう。この場合、Xは、Y自動車屋に対し、中古車価格相当額を請求できます 。
ちなみに、請負でも同じです。民法559条(有償契約への準用)が残り、請負独特の条文(635条、638条~640条)が削除されました。