【法改正速報】皇室典範等改正法が施行(皇族女子の婚姻・養子皇族男子)/皇族の戸籍・住民基本台帳の関係政省令も施行(2026年10月24日)

対象期間:2026年10月17日〜10月24日。報告件数4件(法律の施行1件、政令の施行2件、省令の施行1件)。令和8年10月24日、皇室典範等の一部を改正する法律(令和8年法律第66号)が施行されました。皇族女子が天皇及び皇族以外の者と婚姻したときに皇族の身分を離れるとしていた皇室典範第12条が削られ、皇族男子であった者の子孫である男子を養子とする制度(第38条)が新設されています。同法による皇室経済法、皇族の身分を離れた者等の戸籍の取扱い等に関する法律、住民基本台帳法、日本国憲法の改正手続に関する法律の改正と、これに伴う政令2件・省令1件も同日に施行されました。

1. 皇室典範等の一部を改正する法律(令和8年法律第66号)【法律・施行】

  • 公布:令和8年7月24日(内閣法制局「令和8年1月1日から現在までに公布された法律」)。
  • 施行日:令和8年10月24日。附則第1条は「この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。ただし、附則第五条及び第七条の規定は、公布の日から施行する。」と定めています。
  • 皇族女子の婚姻:「皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる。」としていた皇室典範第12条と、第13条が削られました。第10条は「立后及び皇族の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要する。」と改められています(改正前は「皇族男子の婚姻」。皇族以外の女子で親王妃又は王妃となった者(第14条第1項)でその夫を失ったものと天皇及び皇族以外の男子との婚姻については、ただし書で「この限りでない」とされています)。
  • 経過措置:この法律の施行の際における内親王又は女王(施行時内親王等)が天皇及び皇族以外の男子と婚姻する場合、婚姻と同時に皇族の身分を離れようとするときは、「皇室会議の議によることなく、その意思により、皇族の身分を離れることができる」とされ、この場合、当該婚姻については改正後の皇室典範第10条本文の規定は「適用しない」とされています(附則第2条)。
  • 養子皇族男子(新設の第6章・第38条):親王、親王妃、内親王、王、王妃及び女王(皇嗣及び皇嗣妃を除く。)は、皇室会議の議を経て、「この法律による皇族男子であつた者の嫡男系嫡出の子孫である現に皇族でない年齢十五年以上の男子であつて、配偶者及び子がないものに限り」、養子とすることができます(同条第1項)。養子は縁組の時から皇族となります(同条第3項)。養子皇族男子については、皇位継承の順序を定める第2条の規定は「適用しない」とされています(同条第4項)。あわせて第9条は「天皇及び皇族は、第三十八条第一項の規定による場合を除き、養子をすることができない。」と改められました。
  • 皇室経済法:年額による皇族費について、「独立の生計を営む親王及び内親王に対しては、定額相当額の金額とする。」と改められ(第6条第3項第1号)、皇族がその身分を離れる際の一時金額による皇族費の規定も改められました(同条第7項・第8項)。
  • 戸籍:昭和22年法律第111号の題名が「皇族の身分を離れた者等の戸籍の取扱い等に関する法律」に改められ(改正前は「皇族の身分を離れた者及び皇族となつた者の戸籍に関する法律」)、内親王又は女王と天皇及び皇族以外の男子が婚姻しようとするときは、皇室典範第10条の規定により皇室会議の議を経た後に、法務省令で定める事項を届書に記載して届け出なければならないとされました(第9条第1項)。離婚の届出(第10条)、内親王又は女王と婚姻した男子の戸籍の編製(第5条)なども定められています。なお、附則第2条により婚姻と同時に皇族の身分を離れる施行時内親王等については、第9条第1項の規定は適用されません(附則第4条第3項)。
  • 住民基本台帳法:第39条第1項は、戸籍法の適用を受けない者のうち「天皇及び皇族以外の男子と婚姻をした内親王及び女王(当該男子と離婚又は死別をした者を含む。)」を適用除外から除き、同条第2項で、これらの者に対する同法等の規定の適用について政令で特例を定めることができるとしました。
  • 日本国憲法の改正手続に関する法律:投票人名簿の登録の対象から、住民基本台帳法第39条第1項に規定する内親王及び女王(婚姻内親王等)が除かれ(第22条第1項第1号・第2号)、在外投票人名簿の登録の申請ができる者からも除かれています(第36条第1項)。
  • 見直し:附則第6条第2項は、「皇族の数の確保の状況等を勘案し、必要があると認められるときは、三十年ごとに見直しが行われるものとする。」と定めています。
  • 実務上のポイント:天皇及び皇族以外の男子と婚姻した内親王・女王は、住民基本台帳法の適用対象となり、内親王又は女王と天皇及び皇族以外の男子との婚姻・離婚の届出は、皇族の身分を離れた者等の戸籍の取扱い等に関する法律第9条・第10条の届書によって行われます。戸籍・住民基本台帳の実務に関わる制度変更です。
  • 出典:e-Gov法令検索 皇室典範 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000003 /皇室経済法 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000004 /皇族の身分を離れた者等の戸籍の取扱い等に関する法律 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000111 /住民基本台帳法 https://laws.e-gov.go.jp/law/342AC0000000081 /日本国憲法の改正手続に関する法律 https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC1000000051 /内閣法制局 公布された法律 https://www.clb.go.jp/recent-laws/promulgation_law/id=5122

2. 皇統譜令の一部を改正する政令(令和8年政令第280号)【政令・施行】

  • 公布:令和8年9月16日(官報号外第206号5頁)。
  • 施行日:「皇室典範等の一部を改正する法律の施行の日」(附則第1項)。すなわち令和8年10月24日です。
  • 内容:皇族の身分を離れたときの皇統譜への登録を定める第5条から「から第十四条まで」を削り、「附記しなければ」を「付記しなければ」に改めます(第4条も同様に改め、「皇室典範」の下に「(昭和二十二年法律第三号)」を加えます)。施行時内親王等については、改正後の第5条中「第十一条」とあるのは「第十一条又は皇室典範等の一部を改正する法律(令和八年法律第六十六号)附則第二条」とされます(附則第2項)。
  • 実務上のポイント:皇室典範第12条・第13条の削除と第14条の改正に合わせ、第5条の対象を皇室典範第11条の規定によって皇族の身分を離れた場合とする整理です。
  • 出典:官報 令和8年9月16日号外第206号5頁 https://www.kanpo.go.jp/20260916/20260916g00206/20260916g002060005f.html /e-Gov法令検索 皇統譜令 https://laws.e-gov.go.jp/law/322CO0000000001

3. 住民基本台帳法施行令の一部を改正する政令(令和8年政令第281号)【政令・施行】

  • 公布:令和8年9月16日(官報号外第206号5頁以下)。
  • 施行日:「皇室典範等の一部を改正する法律(令和八年法律第六十六号)の施行の日」(附則)。すなわち令和8年10月24日です。
  • 内容:第33条を全部改め、見出しを「(婚姻内親王等に関する特例)」とします(改正前の第33条は「法第三十九条に規定する政令で定める者は、戸籍法の適用を受けない者とする。」)。住民基本台帳法第39条第1項に規定する内親王及び女王(婚姻内親王等)については、住民票の記載事項のうち「氏名」を「名」と、「戸籍の表示」を内親王等住民である旨と読み替えるなどの特例を定めます(第33条第1項)。婚姻内親王等が皇室典範第11条の規定により皇族の身分を離れたときは、市町村長は住民票を作成し又は記載をするとともに、従前の住民票の消除をしなければなりません(同条第2項)。宮内庁長官は、婚姻内親王等の住民票の記載等をすべき事由があることを知ったときは、一定の場合を除き、遅滞なく市町村長に通知しなければなりません(同条第3項)。
  • 実務上のポイント:婚姻内親王等の住民票には氏ではなく名が記載され、本籍に代えて内親王等住民である旨が記載されます。住民票の写し等の取扱いに関わります。
  • 出典:官報 令和8年9月16日号外第206号5頁以下 https://www.kanpo.go.jp/20260916/20260916g00206/20260916g002060005f.html /e-Gov法令検索 住民基本台帳法施行令 https://laws.e-gov.go.jp/law/342CO0000000292

4. 皇族の身分を離れた者等の戸籍の取扱い等に関する法律施行規則(令和8年法務省令第49号)【省令・施行(新規制定)】

  • 公布:令和8年9月16日(官報本紙第1791号2頁)。
  • 施行日:「皇室典範等の一部を改正する法律(令和八年法律第六十六号)の施行の日(令和八年十月二十四日)」(附則)。
  • 内容:内親王又は女王と天皇及び皇族以外の男子が婚姻するときの届書の記載事項として、①内親王又は女王については内親王又は女王である旨、②男子が外国人であるときはその国籍、③当事者の父母の氏名及び父母との続柄並びに男子が特別養子以外の養子であるときは養親の氏名を定めます(第1条)。離婚の届出事項は、協議上の離婚である旨などです(第2条)。届書の様式は、戸籍法施行規則附録第12号様式及び附録第13号様式に準ずるものとされます(第3条)。
  • 実務上のポイント:婚姻・離婚の届書は、通常の婚姻届・離婚届の様式に準じたものになります。
  • 出典:官報 令和8年9月16日本紙第1791号2頁 https://www.kanpo.go.jp/20260916/20260916h01791/20260916h017910002f.html /e-Gov法令検索 同規則 https://laws.e-gov.go.jp/law/508M60000010049

出典

浅井裕貴弁護士(静岡県弁護士会)

静岡市清水区出身の弁護士。一橋大学・中央大学法科大学院卒業、静岡県弁護士会所属。ネットの誹謗中傷・発信者情報開示請求(意見照会・トレント対応を含む)、相続・遺言、交通事故案件に注力。基本情報技術者の知見を活かし、IT・インターネット分野の法律問題に対応している。