【法改正速報】消費税の輸出物品販売場制度を見直す改正消費税法が11月1日施行(税関長の確認を免税要件に)/改正国民投票法が10月31日施行ほか(2026年10月26日)
対象期間:2026年10月19日〜10月26日。報告件数4件(法律の施行間近2件、政令の施行間近2件)。令和8年11月1日、所得税法等の一部を改正する法律(令和7年法律第13号)のうち消費税法第8条の改正規定が施行され、輸出物品販売場での免税は、免税購入対象者が購入した日から90日以内に輸出につき税関長の確認を受けたときに認められる仕組みに改められます。これに先立つ10月31日には、日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第73号)が施行されます。ほか建築基準法施行令の改正(令和8年政令第284号)と、東京都杉並区を児童相談所設置市に加える児童福祉法施行令の改正(令和8年政令第12号)が、いずれも11月1日に施行されます。
第222回国会(臨時会)(令和8年10月5日~ )の参議院「議案情報」(令和8年10月25日現在)の各議案の明細では、本会議で議決された法律案は確認できませんでした。令和8年10月26日付の官報の目次に、政令・省令の掲載はありません。
1. 所得税法等の一部を改正する法律(令和7年法律第13号)―消費税法第8条(輸出物品販売場)の改正【法律・施行間近】
- 公布:令和7年3月31日(内閣法制局「令和7年1月1日から現在までに公布された法律」)。
- 施行日:令和8年11月1日。附則第1条は、法律本体を令和7年4月1日施行としたうえで、第4号で「第五条中消費税法第八条の改正規定、同法第二十七条(見出しを含む。)の改正規定、同法第五十九条の二第一項の改正規定(「電磁的記録その他の」を「購入記録情報その他の」に改める部分に限る。)及び同法第六十五条第一号の改正規定並びに附則第二十一条の規定」(同号イ)を「令和八年十一月一日」に施行するとしています。
- 改正前:輸出物品販売場を経営する事業者が、免税購入対象者に対し、政令で定める物品で輸出するため政令で定める方法により購入されるものの譲渡を行った場合に、消費税を免除していました(改正前第8条第1項)。免税購入対象者が出国する日までに物品を輸出しないときは、出港地を所轄する税関長が免税購入対象者から免除相当額の消費税を徴収する仕組みでした(同条第3項。災害その他やむを得ない事情により亡失したため輸出しないことにつき税関長の承認を受けた場合等を除きます)。
- 改正後:免税購入対象者に対する免税対象物品の譲渡について、免税購入対象者が「政令で定めるところにより当該免税対象物品を輸出することにつき税関長の確認を受けたとき(その購入した日から九十日以内に確認を受けた場合に限る。)は、当該免税対象物品の譲渡については、消費税を免除する」とされます(改正後第8条第1項)。同一の輸出物品販売場で同一の日に譲渡する免税対象物品の対価の額の合計額が政令で定める金額以上となる場合に限られます(同項)。
- 事業者の義務:事業者は、譲渡に係る電磁的記録として政令で定めるもの(購入記録情報)を、遅滞なく国税庁長官に提供しなければなりません(同条第2項)。税関長が確認をした旨の記録(税関確認情報)は、国税庁長官を通じて事業者に提供されます(同条第3項)。事業者が購入記録情報と税関確認情報を政令で定めるところにより保存しない場合、免税は適用されません。ただし、「災害その他やむを得ない事情により当該購入記録情報及び当該税関確認情報を保存することができなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない」とされています(同条第4項)。
- 輸出されない場合:税関長の確認を受けた免税対象物品が輸出されないこととなったときは、税関長は、確認を受けた免税購入対象者から、免除に係る消費税額に相当する消費税を直ちに徴収します(同条第6項)。
- 経過措置:改正後の第8条は、事業者が令和8年11月1日以後に行う免税対象物品の譲渡について適用され、同日前に行った物品の譲渡については「なお従前の例による」とされています(附則第21条)。
- 関連:e-Gov法令APIの改正履歴では、消費税法施行令(令和7年政令第125号による改正)と消費税法施行規則(令和7年財務省令第22号による改正)も、令和8年11月1日施行の版が登録されています。これらの改正内容は、本記事の作成時点で確認できていません。
- 実務上のポイント:免税店(輸出物品販売場)を営む事業者は、11月1日以後の販売分から、免税購入対象者が税関長の確認を受けることに加え、購入記録情報の提供と、購入記録情報・税関確認情報の保存が免税の前提となります。10月31日以前の販売分は従前の例によります。
- 出典:e-Gov法令検索 消費税法 https://laws.e-gov.go.jp/law/363AC0000000108 /内閣法制局「令和7年1月1日から現在までに公布された法律」 https://www.clb.go.jp/recent-laws/promulgation_law/id=4872
2. 日本国憲法の改正手続に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第73号)【法律・施行間近】
- 公布:令和8年7月31日(内閣法制局「令和8年1月1日から現在までに公布された法律」。議員提出)。
- 施行日:令和8年10月31日。附則第1条は「この法律は、公布の日から起算して三月を経過した日から施行する。」と定めています。
- 投票立会人:市町村の選挙管理委員会が投票立会人を選任する対象が、「各投票区における投票人名簿に登録された者」から「国民投票の投票権を有する者」に改められます(第49条第1項。投票管理者による補充選任の第2項も同様)。
- 開票立会人:政党等が届け出る開票立会人となるべき者は、「開票区ごとに、当該開票区の区域の全部又は一部をその区域に含む市町村の投票人名簿に登録された者」の中から定めることとされ、「同一人を他の開票区における開票立会人となるべき者として届け出ることはできない」とのただし書が加わります(第76条第1項)。都道府県の選挙管理委員会が開票区を設ける場合で、その開票区を国民投票の期日前二日から期日の前日までの間に設けたときは市町村の選挙管理委員会が、期日以後に設けたときは開票管理者が、三人以上十人以下の開票立会人を選任する規定が新設されます(同条第4項。選任は当該開票区の区域の全部又は一部をその区域に含む市町村の投票人名簿に登録された者の中から行い、同一の政党等に属する者を三人以上選任することはできません)。開票立会人が三人に達しない場合等の補充選任(同条第5項)の対象も、同じ名簿の登録者に改められます。
- 広報放送:国民投票広報協議会が行う憲法改正案の広報のための放送の対象となるラジオ放送に、放送法第2条第17号に規定する超短波放送が加わります(第106条第1項。改正前は同条第16号に規定する中波放送)。
- 検討規定:令和3年の改正法(令和3年法律第76号)附則第4条第1号に掲げられていた、開票立会人の選任に係る規定の整備と投票立会人の選任の要件の緩和が削られます。同条第2号(国民投票運動等のための広告放送及びインターネット等を利用する方法による有料広告の制限、国民投票運動等の資金に係る規制、国民投票に関するインターネット等の適正な利用の確保を図るための方策)は、改正後も残ります。
- 適用区分:改正後の規定(第106条第1項を除く。)は、施行日以後に登録基準日がある国民投票について適用されます(附則第2条第1項)。第106条第1項は、施行日以後に憲法改正発議日がある国民投票について適用されます(同条第2項)。
- 実務上のポイント:投票・開票の立会人の選任対象の見直しが中心です。インターネット広告の制限等は、令和3年改正法附則第4条第2号の検討事項として残っています。
- 出典:e-Gov法令検索 日本国憲法の改正手続に関する法律 https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC1000000051 /内閣法制局「令和8年1月1日から現在までに公布された法律」 https://www.clb.go.jp/recent-laws/promulgation_law/id=5122
3. 建築基準法施行令の一部を改正する政令(令和8年政令第284号)【政令・施行間近】
- 公布:令和8年9月16日(官報号外第206号8頁)。
- 施行日:令和8年11月1日(附則第1項)。
- 居室の採光:採光規定の対象となる居室を定める第19条第2項第4号で、対象となる児童福祉施設等から既に除かれている保育所に加え、「利用者の滞在時間が短いことその他の理由により衛生上支障がないものとして国土交通大臣が定めるもの」が除かれます。
- 防火関係:層間変形角(第109条の2の2第1項)と防火区画(第112条第1項・第4項・第5項・第11項)の規定の対象となる建築物のうち、第136条の2第1号ロ・第2号ロ等の基準に適合する建築物について、「その構造及び用途並びに周囲の状況を考慮して防火上支障がないもの」(第112条第11項は「避難上及び防火上支障がないもの」)として国土交通大臣が定めるものが除かれます。第112条第4項・第5項での除外は、建築基準法第61条第1項の規定により準防火地域内の建築物を第136条の2第2号に定める基準に適合する建築物とした場合に関するものです。地下街の各構えへの準用を定める第128条の3第5項は、第112条第11項の改正に合わせて読替えの文言が改められます。
- 危険物:用途規制の対象となる危険物の貯蔵又は処理に供する建築物を定める第130条の9第1項で、数量の算定から除かれるものに、「圧縮ガス又は可燃性ガスを燃料として使用する設備(これと一体として設置されるこれらのガスを貯蔵するものを含み、安全上及び防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合するものに限る。)により貯蔵し、又は処理される圧縮ガス及び可燃性ガス」が加わります。
- 型式適合認定:第136条の2の11第1号の規定の区分に、新たなイ(建築基準法第20条(一部)及び第37条並びに施行令第3章(一部)の規定)が設けられ、従前のイ・ロはロ・ハとなります。施行前に従前のイ又はロの認定を受けた型式は、それぞれ改正後のロ又はハの認定を受けているものとみなされます(附則第2項)。
- 実務上のポイント:除外の範囲の多くは国土交通大臣が定めるもの(告示等)に委ねられています。その内容は、本記事の作成時点で確認できていません。
- 出典:官報 令和8年9月16日号外第206号8頁 https://www.kanpo.go.jp/20260916/20260916g00206/20260916g002060008f.html /e-Gov法令検索 建築基準法施行令 https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338
4. 児童福祉法施行令の一部を改正する政令(令和8年政令第12号)【政令・施行間近】
- 公布:令和8年2月16日(e-Gov法令APIの公布日情報)。
- 施行日:令和8年11月1日(附則第1項)。
- 内容:児童福祉法第59条の4第1項の政令で定める市(児童相談所設置市)を列挙する第45条の2に、東京都杉並区が加わります。
- 経過措置:都道府県知事等が行った許可、認可その他の処分等や、都道府県知事等に対してされている申請、届出等のうち、施行後に杉並区が処理することとなる事務に係るものは、施行後は杉並区長等が行い、又は杉並区長等に対してされたものとみなされます(附則第2項)。施行前に都道府県知事等に対してすべき報告等の手続がされていないものは、杉並区長等に対して手続がされていないものとみなされます(附則第3項)。対象は、児童福祉法第59条の4第1項、児童虐待の防止等に関する法律第16条又は民間あっせん機関による養子縁組のあっせんに係る児童の保護等に関する法律第41条の規定により杉並区が処理することとなる事務です。
- 実務上のポイント:杉並区に関する児童相談所の事務の窓口が、11月1日から東京都から杉並区に移ります。
- 出典:e-Gov法令検索 児童福祉法施行令 https://laws.e-gov.go.jp/law/323CO0000000074 /e-Gov法令検索 児童福祉法 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000164
出典
- e-Gov法令検索 消費税法 https://laws.e-gov.go.jp/law/363AC0000000108
- e-Gov法令検索 日本国憲法の改正手続に関する法律 https://laws.e-gov.go.jp/law/419AC1000000051
- e-Gov法令検索 建築基準法施行令 https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338
- e-Gov法令検索 児童福祉法施行令 https://laws.e-gov.go.jp/law/323CO0000000074
- e-Gov法令検索 児童福祉法 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000164
- 官報 令和8年9月16日号外第206号8頁(政令第284号) https://www.kanpo.go.jp/20260916/20260916g00206/20260916g002060008f.html
- 官報 令和8年10月26日 全体目次 https://www.kanpo.go.jp/20261026/20261026.fullcontents.html
- 内閣法制局「令和7年1月1日から現在までに公布された法律」 https://www.clb.go.jp/recent-laws/promulgation_law/id=4872
- 内閣法制局「令和8年1月1日から現在までに公布された法律」 https://www.clb.go.jp/recent-laws/promulgation_law/id=5122
- 参議院「議案情報」第222回国会 https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/222/gian.htm

