その「和解書」は本当に紛争解決を意味しますか?弁護士が「和解書」の注意点をお話します
Q 私はAさんと紛争になりました。その後、私からAさんに100万円を払って、和解することになりました。もちろん、100万円も支払いましたし、和解書もあります。これで、私とAさんとの紛争は解決したということですよね?
A 和解書を拝見すると、清算条項が入っていません。清算条項が無い場合には、追加の請求を受ける可能性があります。
Q そうなると、この和解書は、全く無意味ということでしょうか。
A 紛争解決のための和解金の一部として100万円を支払ったという意味くらいにはなるでしょう。
Q 「一部」ですか……。
【解説】
弁護士を入れずに作ったとされる和解書(示談書を含みます。)を拝見すると、稀に、清算条項が入っていないことがあります。
清算条項とは、「これ以上、お互いに請求しない。」という条項のことです。
これが無いと、追加請求しても良いという意味になることがあります。
追加請求しても良いということは、真の意味での紛争解決になりません。
清算条項の具体的な例としては、「甲と乙とは、本和解条項に定めるもののほか、何らの債権債務のないことを相互に確認する」などというものです。
「債権」は「請求権」と言い換えても良いです。
「債務」は、債権の対義語であり、「支払義務」くらいに捉えてください。
つまり、「債権債務」とは、大雑把に言って、「請求したり支払ったりする」くらいの意味です。
したがって、「本和解条項に定めるもののほか、何らの債権債務がない」とは、「和解書に記載されていること以外は、お互い、請求もしないし、支払もしない」という意味になります。
この清算条項があることによって、これ以上の請求や支払を防ぐことができ、紛争解決といえます。
逆にいうと、清算条項が無いと、いつ追加請求を受けるか分からないということになるので、紛争解決とは言い難くなります。
皆様も、ご自身で和解書(示談書)を作成する際は、重々お気を付けください。
なお、清算条項が無い和解書は、無効という訳ではありません。
一応、その紛争の解決の和解金の一部としてお金を支払った証拠くらいにはなる可能性があります。
つまり、紛争とは全く無関係に支払った(例えば、紛争とは全く関係ない借金の返済として支払った等)ではない旨の証拠にはなるでしょう。
でも、やはり、期待とは大きく離れた効果しかないといえそうです。

