DVを理由に子連れで避難することは違法?弁護士が誤解を解きます

Q 私は元配偶者からのDVを理由に離婚をし、子について単独親権者となりました。私としては、元配偶者の知らないところに子を連れて転居したいと思います。ただ、離婚の前後を問わず、父母間には協力義務があるとも聞きました。元配偶者に無断で、子を連れて転居すると、協力義務違反となるのでしょうか。

A 確かに、離婚の前後を問わずに、協力義務を定めている条文はあります。しかし、DVからの避難の必要がある場合についてまで、協力義務があるわけではないというのが、法務省の解釈です。

Q 私は、私は元配偶者からのDVを理由に離婚をし、子について、元配偶者と共同親権者となりました。私としては、元配偶者の知らないところに子を連れて転居したいと思います。共同親権の場合、子の居所は単独で定められないと聞きました。元配偶者に無断で、子を連れて転居すると、何か違法になるのでしょうか。

A 確かに、共同親権の場合、子の居所は単独で決められないのが原則です。しかし、「急迫な事情」として、単独で決めることが出来る場合もあり得ます。

【解説】

まず、離婚後単独親権になったとしても、非親権者が子の父母であることに変わりはありません。

そのため、父母には協力義務が定められています。

(親の責務等)
第八百十七条の十二 父母は、子の心身の健全な発達を図るため、その子の人格を尊重するとともに、その子の年齢及び発達の程度に配慮してその子を養育しなければならず、かつ、その子が自己と同程度の生活を維持することができるよう扶養しなければならない。
2 父母は、婚姻関係の有無にかかわらず、子に関する権利の行使又は義務の履行に関し、その子の利益のため、互いに人格を尊重し協力しなければならない。

そうなると、DVを理由に、離婚後単独親権者となった場合と言えども、子の父母に変わりはない以上、元配偶者と協力しなければならないのではないかという疑問が生じます。
しかし、そうではないとするのが、法務省の見解なので、ご安心ください。

また、共同親権者の場合であっても、DVからの避難が必要な場合、「急迫の事情」として、単独で親権行使が可能とするのが、法務省の見解となっておりますので、ご安心ください。

(親権の行使方法等)
第八百二十四条の二 親権は、父母が共同して行う。ただし、次に掲げるときは、その一方が行う。
三 子の利益のため急迫の事情があるとき。

浅井裕貴弁護士(静岡県弁護士会)

静岡市清水区出身の弁護士。一橋大学・中央大学法科大学院卒業、静岡県弁護士会所属。ネットの誹謗中傷・発信者情報開示請求(意見照会・トレント対応を含む)、相続・遺言、交通事故案件に注力。基本情報技術者の知見を活かし、IT・インターネット分野の法律問題に対応している。