そもそも、IPアドレスとは?基本情報技術者の弁護士目線で解説します
Q 発信者情報開示請求とは、IPアドレスの開示請求を含むということはわかりました。ただ、そもそも、IPアドレスとはなんですか?
A IPアドレスは、「インターネット上の住所」と表現されることが多いです。ただ、発信者情報開示請求に限れば、「インターネットの利用許可証」と表現した方が分かりやすいと思われます。
【解説】突然ですが、想像してください。あなたは、一戸建てを新築しました。そして、光ファイバーの新設工事も終わりました。手元には、新しいデスクトップパソコンもあります。
しかし、プロバイダとの契約を忘れていました。
さて、この新しいデスクトップパソコンは、新設した光ファイバーでインターネットを利用できるでしょうか。
……できませんね。プロバイダとの契約を忘れている以上、原則としてインターネットを利用できません。
つまり、パソコンがあって、回線(光ファイバー)があるだけでは、原則として、インターネットは使えないのです。
プロバイダとの契約をしてやっとインターネットを使えるようになります。
さて、プロバイダとの契約をすると、なぜインターネットが使えるようになるのでしょうか。
誤解を恐れずにいうと、プロバイダがあなたにIPアドレスを付与してくれるから、使えるようになるのです。
インターネットでは、IPアドレスのある者に対してだけ、データのやり取りが認められています。
たとえば、あなたが、インターネットで、Yahoo!の天気予報を見たい場合、Yahoo!のサーバーに対して、「私は、IPアドレス12のものです。天気予報が見たいので、IPアドレス12に対し、天気予報のデータを送ってください。」と要求します(※本当のIPアドレスは、もっと桁数が多いですが、分かりやすく2桁で表記します)。
そして、Yahoo!のサーバー側では、「わかりました。では、IPアドレス12の方に対し、天気予報のデータを送ります。」と了解してデータを送るのです。
これを強引に例えると、入館が許可制となっている博物館に似ています。
つまり、まず、博物館の入り口で、入館申し込みをします。その際、名前を書くことによって、入館許可証(ナンバー12)をもらえます。
そして、入館許可証を提示することによって、館内の学芸員さんの話が聞けるわけです(=データが受け取れる。)。
プロバイダは、博物館の入り口のようなものであり、入館許可証をくれる存在のようなものと言えます。
ただ、入館許可証は、使いまわしをすることがあるのは、想像していただけると思います。
つまり、今日、入館許可証ナンバー12を使ったのはあなただとしても、明日、入館許可証ナンバー12を使うのは全くの第三者となるのが普通です。逆に、明日もあなたが、同じ博物館に行ったとしても、入館許可証ナンバーは12以外となるのが、むしろ普通です。
実は、IPアドレスも原則として同じなのです。今日、IPアドレス12があなただとしても、明日IPアドレス12を使うのは全くの第三者でしょう。
逆に、あなたが、今日も明日も同じプロバイダを使っているとしても、今日も明日も同じIPアドレスになるとは限りません。
そのため、IPアドレスだけでは、個人の特定はできません。
先ほどの例でいうと、学芸員さんから見れば、「今日、入館許可証ナンバー12を与えられた人は誰ですか?」博物館の入り口に問い合わせない限り、入館許可証ナンバー12が誰なのかがわからないのと同じようなものです。
プロバイダに問い合わせないと、分からないのです。
ということで、IPアドレスを、強引に別のものに例えてみたというお話でした。

